求人をかける際、求人票を作成する機会は多々ありますが、求人票を作成するには必要事項を埋めていくだけでは十分とはいえません。求職者は求人票を見て応募を検討するのですから、求人票は会社の第一印象を左右するものに他ならず、その記載内容は応募数にも影響を及ぼすため、その作成にあたっては力を入れなくてはなりません。以下では、求人票を作成する際のポイントを紹介していきますので、今後の求人票作成のための参考にしてください。
求人票作成にあたって知っておくべきこと
求人票には書かなければならない項目と、書いてはいけない項目があります。
前者について挙げられるのは、“従事する業務の内容”、“労働契約の期間”、“就業の場所”、“就業時刻、残業の有無、休憩時間や休日など”、“賃金”、“健康保険、厚生年金保険、労災保険および雇用保険の適用の有無”が該当します。
これらはハローワークや人材紹介会社を利用して募集をかける際に最低限書かなければならない項目であるとして、職業安定法、職業安定法で定められています。
一方、書いてはいけない項目としては、性別に関する記載、年齢に関する記載が該当します。これらは男女雇用機会均等法、雇用対策法において定められており、記載した場合には求人をかけられません。
求人票作成のコツ①会社概要・特徴の書き方
求人票を見て、どのような会社であるのか把握できなければ、求職者は応募に消極的となってしまうため、会社概要・特徴は丁寧に書くようにしましょう。
ハローワークを利用する場合など、かつての求人票のデータが残っており、会社概要・特徴についての情報をそのまま使い回すこともできますが、会社概要は最新の情報を正確に書くほうがおススメです。
情報の使い回しを察知した求職者はやはり応募を控えるでしょうし、使い回しが常習化すれば以降も情報更新が先延ばしとなってしまいがちとなるためです。
記載する際には、できるだけ専門用語を使用しないように留意するのが大切です。
採用予定部署の構成も詳細に書くべきであり、その内容を記載するにあたっては専門用語を使用したほうが楽な場合もありますが、求職者の視点となって考えれば、自分に務まるかどうかを考えるうえで、難しそうに思える求人票は敬遠したくなってしまうだろうからです。
わかりやすい言葉を選びながら、求職者の応募に対する心理的ハードルを引き下げるような内容とするよう心がけましょう。
自社の特徴を記載するのは主観が強く影響するため、難しく思える場合もあるでしょう。
そのようなときは人材紹介会社などに自社の特徴について聞いてみるとともに、キャッチコピーを作るなどして、簡潔に自社を表現してみるのがおススメです。
会社概要・特徴について正確に伝えることは、応募後のミスマッチを避けるためにも重要です。
求人票作成のコツ②業務内容の書き方
求人票を眺める求職者の応募を促すためには、できるだけ応募前の不安を取り除くことが重要であり、入社後のイメージを鮮明に描けるかどうかがポイントとなります。
そのためにも業務内容は実際に自分が働いている姿を求職者がイメージできるように、わかりやすい言葉で、できるだけ詳細に書くようにしましょう。
注意すべきは、配属を予定している部署が担当している業務だけを記述するのではなく、新規採用者にどのような業務を担ってもらうのか明確にしておくことです。
この際、必ず担当してもらう業務と、希望があれば担当できる業務を分けて書くようにするといいでしょう。入社してからすぐの状況だけでなく、入社後のキャリア形成も含めてイメージできるようになるため、より多くの応募を引き出しやすくなります。
業務内容についての詳細な記述は、後々のトラブルの予防につながります。
雇い入れの前の労働条件の明示は書面で行わなければなりませんが、求人票と記載事項が異なれば新規採用者に不信感を抱かせてしまう原因となり得ますし、働き始めてから業務内容が異なっていると新規採用者が感じた場合には労使トラブルや退職の原因ともなってしまいます。
このようなトラブルには労働局も積極的に労働者からの相談に乗っているため、予想外に大きなトラブルとなってしまう場合もありますので、そういった事態を引き起こさないよう、業務内容については特に丁寧に記述する必要があります。
求人票作成のコツ③応募条件の書き方
求職者は求人票に目を通しながら、自分が応募条件に該当するか否かを確認しつつ、応募を検討しますので、必須条件と歓迎条件は分けて書くようにします。
絶対に必要な条件と、あれば望ましい条件を求職者が区分しやすいようにすることで、応募へのハードルを上げ過ぎることなく、理想像に近い人材の応募を得やすくなります。
人材ニーズのある職種によっては、必須条件と歓迎条件が微妙に異なるケースもありますが、その場合には求人票を分けて作成するのもコツのひとつです。
求める人物像について詳細な表記をするのも、精度の高い採用活動を実現させるために効果的な手法ですが、求人票に記載してはいけない事項を記入しないよう留意しなくてはなりません。
人材紹介会社を利用する場合には、担当者から性別や年齢についての求人票での取り扱いについてアドバイスを受けられますので、その内容を参考とすれば、よりターゲットに刺さる記述ができるようになります。
応募条件を記載するにあたって、もっとも難しいのはターゲットの設定です。
ターゲットが広すぎると求職者に刺さりづらい求人票となってしまう一方、狭すぎると応募数が減少してしまいがちとなってしまうためです。
この双方を避けるには、適度に求人票を分けて作成し、それぞれに求める人物像について丁寧に表記するといいでしょう。
これらの業務を日常から多く扱っている人材紹介会社にアドバイスを求めれば、よりスムーズに応募条件を記入できます。
求人票作成のコツ④雇用条件の書き方
雇用条件も正確に記載しなければ、後のトラブルを生じさせてしまう原因となります。
給与、休日、残業や休日出勤の有無などは、求職者の利益に直接的に関係する項目なので、シビアな視線を向けられていると意識しておきましょう。
入社してから“思っていた内容と違う“となれば早期退職につながってしまいかねませんので、雇用条件はできるだけ丁寧に記入するようにしなければなりません。
給与を記載する際、入社後のモデル給与も併記しておくといいでしょう。
求職者にとって、入社して働き続けた先、自分がどのような待遇を受けられるのかはとても興味深い点であり、モデル給与を記載しておくことで、入社後のイメージをより鮮明に印象付けることができます。
目先の業務と給与を照らし合わせるだけでなく、中長期的な視点からの応募先の検討を促せることもあって、理想像に近い人材の応募をより多く引き出すことにつながっていきます。
残業時間については、一か月あたりの目安時間を記載するだけでなく、どのような働き方をするのか求職者に伝わる内容とします。
1日あたりどれほどの残業が発生するのか、繁忙期の有無とその時期などを知るほうが、求職者は具体的なイメージをしやすくなります。
働き方改革に伴い、働き方も多様化している今日、長時間残業しても、一定の「みなし時間」しか働いていないとされてしまう裁量労働制が問題視されるケースもあり、残業時間について求職者は敏感になっているため、できるだけ不明点を解消するように努める姿勢が大切です。
まとめ
同じ条件の求人票でも、魅力的な内容となるよう意識して作成された求人票と、そうでないものでは応募数は前者に偏ってしまうことでしょう。
「この会社で働きたい!」と求職者の目に映るよう、求人票をブラッシュアップしていけば、理想像に近い人材からの応募も比例して多くなっていくと期待できます。
しかし、その作成においては主観が邪魔をして自社の魅力を伝えづらい場合もあります。
そのようなときにおススメなのが人材紹介会社の利用です。
人材紹介会社に求人票作成を代行してもらえば、求職者と同様の客観的視点に魅力的に映る求人票ができますので、新たな気付きも得られるほか、後々の参考ともできるため、より採用しやすい環境へとつながっていきます。