いつまでに、どのような人材を、どれだけ採用するのか、など人員の採用においては考えなくてはならないことがたくさんあるため、事前に採用計画を立て、計画性ある採用活動を行っていかなくてはなりません。
採用計画を考えるとき、つい目先の人材ニーズに目を奪われがちとなりますが、定年や中途退職に伴う欠員補充など中長期的な視点も必要です。
この記事では、採用計画の準備と立て方、採用を成功へと導くためのポイントなどを紹介していきます。
採用計画とは?
社内の人材ニーズを把握し、どの部署に何人、どのような人材を配属させる必要があり、それらの人材をどうやって採用するのかなど、採用活動のガイドラインとなる計画を採用計画といいます。
自社の事業を支えていく人材についての計画だからこそ、採用計画は事業計画に沿った内容である必要があります。
人材不足が深刻化するばかりの今日、採用計画はより重視されるべきものとなっています。
その理由は、競合他社より先んじて優秀な人材を確保しなくてはならないためです。
採用計画は採用する人物像を明確にしてくれるので評価がスピーディーかつズレのないものとなり、採用活動の進捗も共有できるので、今日あるべきスピード感ある採用活動の実現に役立てることができます。
採用計画を立てる前に準備すること
採用計画を立てるには、採用のために予算をどれほどかけられるのか、採用を担当する人員の数、など自社の採用力を客観的に把握することから始めます。
採用力は採用成功の難易度を上下させるものなので、自社の採用力が不十分であると判断した場合には、リファラル採用やソーシャルリクルーティング、ダイレクトリクルーティングといった採用コストを軽減できる採用手法も積極的に取り入れていきます。
また、これまでの採用を振り返り、内定者と内定辞退者の数、入社後の定着率、ミスマッチの発生状況などをチェックし、過去の採用における課題をあぶり出すのも有効な手段です。
人材の確保にあたって競合他社の状況を把握するのも大切です。
同業の場合には、ターゲットとする人材像も似通ってくるため、競合他社がどのようなターゲット設定を行っているのか、賃金や募集人数の状況はどうなっているのか、などをチェックすることで、より精度の高い採用計画を立てやすくなります。
もちろん求職者の動向を分析することも不可欠です。
中途採用の場合には、1~3月にかけては求職者が多く、8月には減少傾向にあるといったように採用に有利とされる時期、不利とされる時期もあります。
しかし、一般論がそのまま当てはまるわけでなく、業界によって状況が異なる場合もありますので、しっかりと情報収集と分析を行い、採用計画へと反映させていかなければなりません。
競合他社の調べ方
競合他社の採用計画を調査するには、求人票や求人広告をチェックするのが一般的な方法といえますが、より精度の高い情報を得るには、面接時のヒアリングが有効です。
「他にどのような企業を受けていますか?」と質問したり、エントリーシートに他の受験企業について答えてもらうようアンケートを設けたりする方法があります。
また、自社に入社した新入社員にヒアリングするのもおススメの方法です。
自社と比較検討した企業名、自社を選んだ理由、競合他社に魅力を感じた点など、より具体的な質問をしやすくなります。
その他、手軽な手段としてはネットの口コミを探してみる方法があります。
また、転職エージェントから情報を集めるのもおススメです。
転職エージェントは日頃から多くの企業の採用事情に接しており、採用のプロならではの専門的な知見も加えられた情報を持っているため、応募者や新入社員へのヒアリングとは質の異なる情報を得ることが期待できます。
自社の競合企業の採用の特徴や傾向、他社でエントリー数が増えた取り組みの実例、他社がこれからどのような採用への取り組みを行っていくのか、などを質問することで、今後の自社の採用計画に取り入れられる有益な情報を得られます。
これを実現させるためには、日頃から転職エージェントと付き合っておく必要があります。
転職エージェントは人材の紹介を受ける事業者としてだけでなく、採用に活かせる有益な情報源としても活用できます。
採用計画の立て方
採用計画を立てるには、まず採用目標の設定を行います。
採用目標は人材の数と質の両面から考える必要があります。
人材の数については、自社の事業計画に沿って要員を割り出しますが、定年や中途退職に伴う欠員補充も取り入れた数としていかなくてはなりません。
人材の質については、部署ごとの人材ニーズを調査し、どの部門にどのようなスキルを持った人材は必要なのかを考えていきます。
このとき、人材ニーズを持っている部署と打ち合わせを重ね、理想とする人材像についてペルソナ設定しておくのがおススメです。
選考基準が明確となるので、選考に携わる担当者間での評価にズレが生じづらくなり、選考をよりスムーズに進められるためです。
次に、選考方法を決めます。
選考は応募者の見極めを行うためのプロセスであり、どれだけ理想の人材像を明確にしていても、目の前の応募者を正確に評価できなければ元も子もありません。
応募者の持つスキルや就業への意欲を測る書類選考、就業するための知識や適性を測るための筆記試験、総合的な見極めを行う面接、といったステップを組み合わせて選考方法を決めるとともに、各ステップにおける合格基準も明確にしておきます。
そして、定めた選考プロセスをスケジュールへと落とし込んでいきますが、採用スケジュールの決定にあたっては、採用のスピード化・短期化が進んでいることを念頭に置く必要があります。
応募者は必ずしも自社だけに応募しているわけではなく、並行して複数の企業を受けていることも多々あります。
この場合、応募者は候補を絞っており、先に内定を出してくれた企業を優先することも少なくないので、レスポンスの遅れはせっかくの人材を逃してしまう原因となってしまう可能性があります。
最後に採用方法を決めていきますが、近年は採用方法の多様化が進んでいるので、どの方法が自社にとってもっともコストパフォーマンスに優れているのかを考えなければなりません。
採用コストを抑えるだけでなく、理想の人材像の属性を意識した媒体選びを行うことで、より多くの募集を得やすくなります。
採用目標を達成するためにも、スケジュールに余裕を持って採用方法を比較検討するようにしましょう。
採用計画のフォーマット、テンプレート
採用計画の立案に使用できるフォーマットやテンプレートは数こそ多くありませんが、エクセルやGoogleスプレッドシートで作成されたものが無料で利用できますので、それらを活用するのがおススメです。
エクセルの場合にはバージョンの新しいものであれば、【ファイル→新規→オンラインテンプレートの選択】と進んでいき、ガントチャート、ビジネス計画書、分析シートといったものを使用すると便利です。
スプレッドシートの場合には、右上をクリックすることでテンプレートギャラリーへと進めますので、そちらから適したものを選んで使用します。
採用計画は企業によって異なるため、いずれの場合にもカスタマイズしなければなりませんが、少しの加工で済みますので是非試してみてください。
まとめ
採用計画は目先の人材ニーズ以外に、中長期的な人材ニーズも捉えつつ、事業計画に沿った内容でなくてはなりません。
そして、その進捗にあたっても、理想像に近い人材をみすみす逃してしまわないように、スピード感を意識して進めていくとともに、それぞれの選考プロセスでは正確に応募者を見極めることが要求されます。
このように採用計画の立案及び進捗にあたっては留意しなければならない点が多々ありますが、それらは人材不足の今日だからこそ尚更といえます。
もしも採用計画に不安があるなら、気軽に転職エージェントへとアドバイスを求めてみるといいでしょう。
仕事柄、採用計画の立案と進捗を繰り返しているプロならではのタメになるアドバイスを受けることができます。