人材を採用するにはコストがかかり、これを採用コストと呼びます。
採用コストを大別すると外部コストと内部コストに分けることができます。
このうち、求人広告費や人材サービス利用時の紹介手数料などをはじめとする外部コストは高くなりがちであり、採用コストの大部分を占めているため、外部コストを見直すことで採用コスト全体を抑えることができます。
この記事では外部コストを0円にするための方法をいくつかご紹介していきますので、今後の参考にしてみてください。
中途採用一人あたりの採用コスト
一般的に採用コストがどれくらいかかるのか目安を知ることで、今後の採用にかけるコストをイメージしやすくなります。
株式会社リクルートや株式会社ツナグ・ソリューションズの調査によると、中途採用者一人にかかる採用コストは62.5万円となっています。
新卒採用者の場合には53.4万円となっているため、中途採用のほうが10万円近くコストが大きい結果となっていますが、この背景には中途採用と新卒採用の性質の違いがあります。
配属先に合わせてピンポイントで採用する傾向の強い中途採用とは異なり、新卒採用では複数名を同時採用するため、採用人数で採用にかかったトータルのコストを割った場合に一人あたりの採用コストが低く算出されがちです。
採用コストは業界別でも異なっており、サービス業や飲食業はコストが低めである一方、製造や運輸、医療といった業界の場合には高くなります。
株式会社マイナビの「中途採用状況調査」によると、サービス業および飲食業の場合には26万円前後、製造は112.4万円、運輸は109.2万円、医療は122.7万円といったように大きな差が生じています。
これだけの差が生じている理由としてまず挙げられるのが、サービス業や飲食業の場合には一度の募集で複数名採用できる点、製造や医療の場合には専門的な知識や資格の有無など採用要件を満たすことのできる人材の絶対数が小さい点です。
採用コストの内訳
採用コストは外部コストと内部コストに大別されます。
外部コストの内訳
外部コストとは、採用コストのうち社外へ支払うコストのことであり、求人広告費、人材サービス利用時の紹介手数料、会社説明会や面接を行う際の会場費、配布する会社案内をはじめとする採用ツールの制作費などが挙げられます。
これらのコストに共通しているのは外部のサービスを利用するのでそれぞれの内訳が高額となりがちであり、どのサービスを利用するべきか入念に検討しなければならない点です。
求人広告費が顕著な例です。
最近ではある業界に特化した媒体も増えてきているよう、求人広告媒体はそれぞれ得意とするターゲットが存在しているため、自社が求めている人材像を明確にしながら利用先を選ばなくてはなりません。
不要な媒体を利用しないよう心がけるだけでも、外部コストの軽減を図ることができます。
内部コストの内訳
内部コストとは、採用に関連する業務について社内の従業員を動かす際に必要となるコストを差します。
面接官や採用担当者の人件費、電話応対や受付などを担う要員の人件費、応募者や内定者に支払う交通費、内定者の集いを開く場合の交際費などが例として挙げられます。
内部コストは外部コストに比べて目に見えづらいのが特徴です。
内部コストは求人への応募者、選考を通過した内定者についての対応に要されるコストであるという性質上、内定者の事態を防ぐことで内部コストの軽減へと直結します。
外部コストを0円に！
採用にかかるコストは外部コストの内訳が高額となるため、外部コストを見直すことで採用コストを抑えられるようになります。
外部コストの代表格である求人広告費をかけることなく、無料で求人広告を掲載できるハローワークはよく知られていますが、他にも無料で利用できるサービスが存在していますので、以下に簡単にご紹介していきます。
Indeed
Indeedとは世界で一番利用されていると言われている求人専門の検索エンジンです。
GoogleやYahoo!といった大手検索エンジンの求人情報特化版のようなものであり、求人情報サイトやハローワークに掲載されている求人だけでなく、自社で掲載している求人情報も拾いながら、求職者が入力する条件に合わせて結果表示してくれます。
有料プランも存在していますが、基本的には無料で求人広告を掲載できるほか、採用成功時に手数料が発生することもないので、一貫して０円で利用することができます。
世界でもよく知られた存在であるため、SEOに強いのもIndeedの魅力です。
Googleしごと検索
Googleしごと検索は、検索エンジンGoogleのひとつの機能であり、求人情報を探していたり転職に関する情報を探していたりするだろうGoogleユーザーに対して、キーワードに沿った求人広告を表示してくれます。
Googleのクローラーが読み取った求人情報を、その情報を探しているだろう人物に表示してくれるため、掲載料がかからないほか、検索エンジン対策を行う必要がないのも魅力です。
Indeed同様に検索エンジンであるため、採用が成功した場合に何かしらの成功報酬も発生しません。
スタンバイ
スタンバイも求人特化型検索エンジンのひとつです。
運営元の株式会社スタンバイはヤフー株式会社をグループ内に持つZホールディングスと、株式会社ビズリーチの合併会社であり、スタンバイを利用することでYahoo!しごと検索にも自社の求人情報が表示されるようになります。
国内最大級の求人案件が掲載されているため、仕事探しのためにスタンバイを利用するだろう求職者の数の多さも期待できます。
SNSよりスカウト
最近は多くの人々がFacebookやInstagram、XなどのSNSで自分に関する情報を発信していますので、自社の求める人物像に合った人材を探すのにSNSを利用するのも一手です。
SNSにはそのアカウント所有者に直接メッセージを送ることができるため、気になる人材と直接コンタクトを取ることができます。
SNSの利用は無料なので、SNSを通じてスカウトした結果、採用に結び付いたのであれば、その採用活動にかかる外部コストは０円となります。
外部コストを抑えるならダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業が人材へと直接アプローチする採用手法であり、求人広告媒体や人材サービスを利用せずに採用できるため、これらのかかる外部コストを抑えることができます。
ダイレクトリクルーティングは求人をかけて応募者を待つ従来の採用スタイルとは異なり、会社が自ら人材の獲得のために動く攻めの採用スタイルなので、少子高齢化が進んで人材不足が深刻化するばかりの今日、より必要性を増している採用手法であり、必要とする人材にピンポイントでアプローチできるのも魅力です。
ダイレクトリクルーティングを行うにはＳＮＳや専用サービスを利用し、必要な人材を探し出してアプローチするので採用の手間がかかりますが、まだ積極的に転職活動を行っていない潜在的な転職希望者にも接触できるため、コスト面のみならず採用できる人材の質の向上も期待できます。
ダイレクトリクルーティングへの取り組みは自社に採用ノウハウの蓄積ももたらしてくれるため、中長期的に考えた場合の採用活動におけるメリットも得られます。
まとめ
ありきたりな採用手法で中途採用を行った場合、労働者人口が減少するばかりのこれからにおいて、採用コストはこれまで以上に高騰してしまう可能性もあります。
しかし、外部コストと内部コストに分けて採用コストを捉えれば、双方をいかに抑えるかによって費用対効果に優れた採用活動を実現できるようになります。
求人広告の掲載が有料であるのが当たり前だった時代は過去のものであり、昨今では無料で求人広告を求職者に提示できるサービスがいくつもリリースされているなど、外部コストを抑えるための選択肢が多々生まれていますので、それらを上手く活用すれば採用コストを大幅に軽減できます。
時代に沿った採用手法を積極的に取り入れ、より一層の効率的な経営に取り組んでみてはいかがでしょうか。