即戦力につながる内定者フォローのポイント

応募者を選考し、内定を出したからといって、その人材が必ずしも自社に入社するとは限りません。
内定を出した後に辞退されてしまえば、本来欲しかった人材を諦めなくてはならないどころか、採用活動をやり直さなくてはならず、時間もコストも大きなロスが出てしまいます。
この記事では内定者をしっかりフォローしながら辞退を防ぎ、優秀な人材を確保するためのポイントを紹介していきますので、内定から入社までをスムーズに進めるための参考にしてください。

内定者フォローの目的

 

内定者フォローを充実させることで、より安定した採用の実現を図ることができます。
内定者フォローの目的は、選考を経て自社で就業して欲しいと判断して内定を出した人材を確実に自社へと入社させることであり、採用までのプロセスの最終段階です。
仮に内定辞退されてしまったならば、それまでの手間もコストもすべてが水の泡となってしまうほか、当初の採用計画にも大きな狂いが生じかねません。

内定を出した人材は必ずしも自社のみを受けているわけではなく、いくつかの候補を並行して受けている場合も少なくありません。
人材不足が深刻化し、完全なる売り手市場となっている今日、優秀な人材がいれば競合との奪い合いとなりがちであるため、その人材には複数の内定が集まりやすくなっています。
この結果、いくつか得た内定先より、最終的に入社する先を選ぶわけですから、内定後もしっかりフォローしながら自社への入社へと誘導していく必要があります。

内定後、放置されている企業よりも、しっかりとフォローを継続してくれる企業のほうが安心して入社しやすく、“自分が必要とされている”との実感を内定者に持たせることができます。
綿密な内定者フォローを意識するためには、選考時の主導権は企業側にあり、内定後の主導権は内定者にあると認識するのがいいでしょう。
優秀な人材ほど複数の内定を持っているということは、いくつもの企業が内定を辞退されているということも意味している点にも注目すべきです。

内定者が内定者フォローに望むこと

内定者は内定を手に入れたからといって、そのまま安心して入社を待っているわけではありません。
“本当に自分が必要とされているのか”、“安心して働くことのできる環境であるかどうか”など、いくつもの不安を抱えながら内定者フォローを待っている場合もあります。

内定者が内定者フォローに望むこととしてまず挙げられるのは、定期的なコミュニケーションです。
連絡をこまめに取るようにすることで会社との距離感が縮まり、自分が入社する先のより詳しい情報を把握できるため、内定者に安心感を与えられます。

百聞は一見にしかずという言葉もあるよう、自分が就業する現場を見学したいという声もあります。
就業場所の雰囲気や、どのようなメンバーが働いているのかを実際に現場で確認することで、内定者は就業後のビジョンを鮮明に描くことができるようになります。

より一層の安心感を与えるには、他の従業員とコミュニケーションを交わす機会を設けるのがおススメです。
同時期に入社する内定者が他にもいるのであれば、一緒に会社に集う機会を設けたり、予定されている配属先の既存社員と簡単に談笑できる場を設けたりすることで、内定者が安心して入社しやすい環境づくりを図ることができます。
特に既存社員とのコミュニケーションは、選んだ会社が本当に正しかったか見極めたい、という内定者の要望にも応えられるものであり、何となく抱えている不安の解消にも効果を期待できます。

内定者フォローの内容とポイント

内定者へのフォローは入社前だけでなく、入社してからしばらくの間も継続して行い、内定者が落ち着いて働けるようサポートしていく必要があります。
以下に、入社前と入社後に行う主な内定者フォローの内容とポイントを簡単にご紹介します。

入社前

内定者とこまめに連絡をとる

内定者がスムーズに入社できるよう、こまめに連絡を入れるのはとても大切なポイントです。
連絡が疎かとなれば、内定者は自分が必要とされていないのではないかと思ったり、いい加減な会社であると判断して入社に消極的になったりする可能性があります。
優秀な人材ほど複数の内定を得ている可能性が高いため、連絡の過疎は土壇場での内定辞退にもつながりかねません。

入社前に職場の見学をしてもらう

自分の配属される就業場所はどのような雰囲気であるのか、一緒に仕事をしていくのがどのようなメンバーであるのか気になるものです。
外から見えづらいこれらの情報について入社前に知ることができれば、自分がその場で働いている鮮明なイメージを抱きやすく、安心して入社しやすくなります。

同僚になる社員とコミュニケーションをとる

配属が予定されている就業場所に顔を出してもらうことで、新しく同僚となる既存社員とのコミュニケーションを交わすこともできます。
新しい環境へと飛び込む際、そこで待っている人たちの顔を知っていれば、より安心しやすくなります。
コミュニケーションを交わすことで人間関係の形成のためのきっかけも掴めれば、内定者にとって心強さを得られる機会となります。

入社後

内定者面談

内定者面談を行うことで、その後の定着率を高められます。
いくら優れた人材であっても、何のフォローもなしに活躍を期待されるばかりでは荷が重すぎます。
入社後も内定者と面談を行い、入社に伴う不安や疑問の解消に努める必要があります。

内定者研修

同じ業務であっても、会社によってやり方が異なる場合も少なくありません。
即戦力として期待できる内定者であっても、豊富な知識やスキルを発揮する方向性が見えないままではなかなか本来の活躍ができません。
入社後も研修を重ねていくことで、しっかりと能力を発揮してもらえるよう方向性を合わせていきます。

オンラインでの内定者フォロー

新型コロナウイルスの流行によって、採用の各プロセスがオンライン化しましたが、内定者フォローも例外ではありません。
できるだけ人との接触を避けることが望ましい状況下、内定者フォローもオンライン化し、アフターコロナにおいてもウイズコロナ同様にオンラインでの内定者フォローが多く行われると予想されています。
ZOOMをはじめとするWEBツールを利用すれば、音声だけでなく相手の表情も確認しながらコミュニケーションを重ねられますので、フォロー作業自体に支障が出ないほか、相互にスケジュール調整もしやすく、こまめにコミュニケーションを交わしやすいなどのメリットがあるためです。

しかし、オンラインによる内定者フォローで課題となっているのは非言語情報をいかに伝えられるかという点であり、アフターコロナの内定者フォローではウイズコロナで行ってきたオンライン主体の内定者フォローに加えて、リアルでの接点を工夫しながら創出していく必要があります。
採用のオンライン化が進んだ結果、実際に入社してからのビジョンが見えづらいという声も多くなっているため、内定者フォローにおいてVRを用いたり、就業場所の動画を多く取り入れたりするなどの工夫を加えれば、採用のオンライン化によって生じるリアリティ・ショックを避けられるようになります。
自分が内定者の立場になったとき、どのような情報を入社前に得たいのかイメージすると、より充実したフォロー体制を敷きやすくなります。

まとめ

内定を出した後の主導権は内定者が持っています。
優秀な人材であるほど複数の内定を得ている可能性が高いため、内定後のフォローが不十分であれば内定の辞退へとつながってしまいかねません。
内定後のフォローでは、自分が内定者の立場になったつもりで、安心して入社できる環境づくりを図っていくことが大切です。
オンラインでのコンタクトを取り入れながら、こまめにコミュニケーションをとり、内定者の抱えている入社後についての不安をできるだけ解消できるよう努めていけば、それらの積み重ねが最終的な決め手となり、内定者の入社へとつながっていきます。人手不足が深刻化するばかりの今日だからこそ、採用プロセスの最後の詰めをしっかり行っていく必要があります。