経理はどの会社にも必須の機能であり、優秀な経理人材を雇い入れたいという想いも企業規模を問わず共通しています。
経理職を任せるということは、会社の貴重な経営資源であるカネに関する情報への接触を許可することを意味しているのですから、もしも不適切な人材を雇い入れてしまった場合、その企業は大きなリスクを抱えてしまうことになります。
この記事では、優秀な経理人材を見極め、採用するためのポイントをご紹介していきますので、是非参考にしてください。
優秀な経理人材を採用するポイント
優秀な経理人材であるかどうかを見極めるためには、これからご紹介する6つのポイントに注目していきます。
まずはスキル・経験と資格の2点です。
経理として採用するからには業務に必要な知識を有している必要があるためです。
また、企業によっては英語力もチェックすべきポイントとなります。
そして、経理はチームとして機能を発揮しなければならない場合も少なくないので、人柄・価値観とマネジメントの有無も重要なポイントとなってきます。
これらの2点は経理チームの一員として適しているかどうか、チームを引っ張っていける人物であるかを判断するための基準となります。
最後に、今後やりたいことが明確であるかどうかもチェックすれば、キャリアビジョンを共有することができます。
採用基準を作る
優秀な経理人材を見極めるには、採用基準を明確にする必要があります。
求人への応募者の選考については、役員や採用担当者、配属予定の部署の責任者などが携わりますが、それぞれが異なる採用基準を持っていれば、採用後のミスマッチの可能性が高まってしまうためです。
採用基準を決めるには、まず採用したい人材の要件を定義するために、役員や配属予定部署の責任者およびスタッフにどのような人物を求めているのかヒアリングします。
そして、求める人物像について得られた情報を取りまとめながら人物像を明確化し、ペルソナを作成していけば、採用に携わるスタッフ同士で採用基準を共有できるようになります。
最初に作成したペルソナは入っているべき採用要件が含まれていなかったり、オーバースペックだったりする場合も少なくないので、できあがったペルソナを確定させる前に社内で共有し、ペルソナに含めている要件の優先順位を議論するなどして、より精度の高い人物像へとブラッシュアップするのも大切です。
ペルソナに含んだ採用要件をもとに、面接時の評価ポイントを定めておきます。
評価ポイントはマストな評価項目とベターな評価項目を作成していきます。
マストは最低限の必須要素であり、ベターはあったら加点する要素のことを指します。
より優れた人材を望むばかり、つい“あれもこれも”となってしまいがちですが、マストな評価項目とベターな評価項目に分けて考えることで、客観的な視点を損なうことなく採用しやすくなります。
優秀な経理人材が使用している転職媒体を使用する
設定したペルソナにマッチする優秀な経理人材を確保するには、そのような人材が利用していると考えられる転職媒体を利用しなければなりません。
昨今、多数の転職支援サービサーが登場するとともに、転職媒体も多様化しており、それぞれ得意とするジャンルを持ち合わせていることも多いので、人材確保のために利用する媒体選びはより重要なプロセスとなってきています。
経理経験者だけでなく、未経験の人材も多く登録しているのが総合型の求人サイトと転職エージェントです。
ともに登録者数が多いのが魅力ですが、経理業務をスムーズに担うことのできる人物を自力で見極めなくてはならない求人サイトを利用するよりは、転職エージェントを利用したほうが、自社の求めるペルソナに近い人材を採用しやすくなります。
一言で求人サイト、転職エージェントといっても、分野特化型と総合型に分かれます。
よって、経理に限定すれば、バックオフィス特化型の求人サイトおよび転職エージェント
を選ぶようにすると、より精度の高い採用へと近付くことができます。
最後に、自社が能動的に動くダイレクトリクルーティングに取り組んでみるのもおススメです。
ダイレクトリクルーティングをわかりやすく言い換えるならば、自社の求める人物像に近い人材をスカウトする採用手法といえます。
採用後のミスマッチの可能性が小さく、コストもかからない採用手法がダイレクトリクルーティングのメリットです。
募集要項を作成する
求人情報を掲示するには募集要項を決めなくてはなりませんが、その内容に含むべきなのが企業紹介、直属の上司の紹介、募集するポジションの紹介、所属予定部署の紹介、必須資格や応募条件、年収などの雇用条件です。
応募者は求人情報を眺めながら、どのような企業なのか、自分に担当することのできる業務であるかどうか、雇用された際の条件面などをトータルで判断して応募するかどうかを決めますので、情報量に乏しい求人情報としてしまえば、十分な数の応募者が集まらず、選考プロセスが形骸化してしまう可能性も出てきます。
直属の上司の紹介や所属予定部署の紹介まで含めた求人情報はそれほど多くないかもしれませんが、より豊富な情報を求職者に提示するのは企業側にも大きなメリットを期待できます。
なぜなら、その企業に自分がフィットできるかどうか判断するための材料を求職者により多く与えることができるため、実際に応募してきた求職者が自社の求めるペルソナに近い人物である可能性が高まるからです。
少なすぎる情報は就業意欲の曖昧な求職者も招いてしまうため、それらの応募者に対してかける採用コストが膨らんでしまうのを考えれば、自社に関する豊富な情報を提供する負担以上のメリットを得られると期待できます。
事前に自社についての情報をしっかり提供すれば、採用後のミスマッチのリスクも逓減できますので、採用した人材の早期離職の可能性を小さくするためにも役立てられます。
採用面接で質問する内容
事前に決定したペルソナ、マストな評価事項およびベターな評価事項を携えながら臨む応募者との面接では、応募理由や志望動機、経歴など応募書類から読み取ることのできる情報を確認しつつ、応募者の価値観を確認するための質問も交えていきます。
経理職はワンマンですべてを担っていくのではなく、チームの一員として機能しなくてはならない性質上、コミュニケーション能力も重要であり、その根底にある価値観を把握することがとても大切となるためです。
応募者の価値観を知ることで自社のカルチャーにフィットできるかどうかも判断しやすくなるので、早期離職のリスクの軽減にもつながっていきます。
もちろん応募ポジションに関する質問も重要です。
経理業務をスムーズにこなしていけるだけの知識やスキルを持っているのが前提となるため、基本的なスキルを問うよりも、より難易度の高い業務に対応できるかどうか質問していきます。
例えば、“年次決算ができるのか?”、“使用したことがある会計ソフトは?”、“予算管理や事業計画の策定はできるのか?”などの質問をすることで、その応募者がこれまでどのような経理業務に従事してきたのか把握しやすくなります。
経理職は実務経験がすべてといっても過言ではない職種であるため、これまでに経験してきた経理業務の内容を知ることは、企業側にとってより合理性の高い採否判断の実現を可能にしてくれるものといえます。
採用試験が必要な場合は
【第6章本文】(目安:依頼概要のパーセンテージ参照)
選考プロセスはその企業によって異なりますが、もしも採用試験を実施する場合には、以下の方法があります。
・適正検査
・能力検査
・性格検査
・一般常識試験
・専門知識試験
・論文試験
いずれも目的に応じて使い分けられており、それぞれ異なる特徴を持っています。
適性検査は性格や能力などを客観的に評価できる検査であり、能力検査は業務遂行能力を計るためのものです。
性格検査は抽象的な概念である性格や価値観を、客観的かつ具体的に明示化してくれる検査であり、一般常識試験は文字通り一般的な知識を問う内容である一方、専門的な知識の有無を問う専門知識試験もあります。
論文試験はより実践的な知識を問うものであり、物事を他人にどのように伝えるのか観察することができます。
まとめ
経理職を担うことのできる人材を採用するには、業務にスムーズにフィットできること、経理チームの一員として協調性を持って円滑なコミュニケーションを交わすことなど、多くの点が求められるため、採用要件を定めるのもそう簡単なことではありません。
しかし、カネという経営資源を任せられる人材を採用しなければならない以上、採用までの手間を惜しむ必要はありません。
経理職の採用に特化した求人情報サイトや転職エージェントも多数ございますので、それらのサービスも利用しつつ、これからの自社のビジネスを支えていく人物の確保に努めてみてはいかがでしょうか。