一般的な採用プロセスは書類選考と面接です。
選考スケジュールを組むにあたって、特に頭を悩ませることになるのが後者です。
日程調整に手間がかかり、面接官の人件費をはじめとするコストもかかるので、できるだけ面接回数は少ないほうがいいものの、少なすぎる面接は選考の精度を落としてしまいがちなので、面接は適切な回数が必要となります。
この記事では平均的な面接回数や、面接の回数に応じた面接パターンなどを紹介していきます。
面接回数の平均は2回以上
リクルートキャリア「就職白書」によると、選考プロセスに面接を取り入れている企業は99%となっています。
また、面接回数の平均についてはdoda「採用担当者のホンネ-中途採用の実態調査」に調査結果が掲載されており、平均値は2.2回となっています。
もっとも多かった回答は2回となっており、7割近い企業が2回の面接を実施していると答えています。
次に多かったのは3回であり、1回もしくは4回行う企業はごくわずかという調査結果となっています。
企業規模が大きいほど面接回数が多くなる傾向があります。
これは様々な役職者が選考を通過する応募者と会っているためです。
このため、中小企業の場合には面接は2回行うのが主流であるといえます。
面接回数の多い職種少ない職種
面接回数は企業規模だけでなく、職種によっても異なっています。
doda「採用担当者のホンネ-中途採用の実態調査」によれば、面接回数がもっとも多いのは金融系職種であり、面接を実施する回数が3回であると回答した会社が4割を超えており、4回以上面接を行うと回答した会社も16%と平均を大きく上回っています。
この理由は、金融業界が他の業界以上にコンプライアンスの遵守を徹底しなければならないためです。
業務上のミスやトラブルが発生して信用を失ってしまった場合、金融業界では存続問題に発展しかねません。
このため、複数の部門や役職の人物が面接担当者として候補者と直に会い、入社させるべき人物かどうか見極めを行っています。
反面、面接回数が少ないのは医療系職種であり、面接を1回しか行わないと回答した企業は16%と全体平均を大きく上回っています。
医療系の職種はスキルを証明するための資格取得の有無が重視される傾向が強く、履歴書や職務経歴書から読み取れる情報で採否を判断しやすいためです。
加えて、医療系の職種はニーズが高く、資格取得者の場合には競合感での奪い合いにもなりやすいため、必要なスキルを持つ人物が応募してきた場合、早めに内定を出して人材の確保を図るためにも面接回数を最小限とするのは合理的です。
医療系職種と同じ理由で、専門的な知識や技術を要される技術系職種も面接回数が少なめとなっています。
面接時間は1回あたり30分から1時間
業種や職種によっても異なりますが、平均的な面接時間は1回あたり30分から1時間です。
本来であればじっくりと応募者と面談し、どのような魅力を持つ人物であるか見極めたいところですが、面接担当者も自分の本来の仕事を抱えている状況下、面接に対応するためのスケジュールを組まなくてはなりません。
応募者が多い場合にも、ひとりひとりに十分な時間を割くことは困難なので、1時間の面接を予定していたものの30分で切り上げる場合もあります。
予定している項目のみの確認であれば30分の面接とし、口説きや質問事項への対応を行う場合には1時間の面接とするなど、面接内容によっても面接の時間は変わってきます。
採用担当者のスケジュール、応募者の人数、面接の内容などを総合的に考え、30分から1時間の間で面接時間を設定します。
回数ごとの面接パターン
面接回数が決まったら、それぞれの面接において誰が面接担当者として応募者の見極めを行うのか決定します。
以下では3つのパターンについて簡単にご紹介します。
面接を2回行い、人事担当者が同席するケース
1次面接では人事担当者と配属予定部署の責任者が、2次面接では役員もしくは社長が面接を行います。
このケースでは1次面接において、同じ評価項目につき人事担当者と配属予定部署の責任者がそれぞれの視点で評価します。
業務や社風にフィットできるかどうか、雇用条件についてなども1次面接で行い、2次面接では人柄の掘り下げ、中長期的視点においてどのような活躍を期待できるのかなどを見極めます。
面接を2回行い、人事担当者が同席しないケース
1次面接では配属予定の部署責任者が、2次面接では役員もしくは社長が面接を行います。
業務へのスキルマッチングを計ったり、社風にフィットできるか否かを見極めたり、雇用条件について確認を行ったりの工程は1次面接で行います。
2次面接では、企業風土にマッチしながら活躍を期待できるかどうか、どのようなポテンシャルを秘めているのか、などを見極めるとともに、雇用条件の詰めも行います。
人事担当者は採用が決定した後、事務手続きや内定者フォローを担当します。
面接を3回行うケース
1次面接では人事担当者が、2次面接では配属予定部署の責任者が、3次面接では役員もしくは社長が面接を担当します。
1次面接では応募者のスキルの確認、人柄の総合的なチェック、雇用条件についての簡単なやり取りを行います。
2次面接では1次面接で得られた情報の確認に加え、配属予定部署へのマッチングの度合いを計ります。
最終となる3次面接では人柄を注意深く伺いつつ、応募者のポテンシャルを計ります。
このケースは企業規模が大きい場合によく見られます。
面接は多い方がいいのか?
面接回数を多くすれば、応募者の見極めの精度向上を期待できます。
面接回数が多いほど、いろいろな社内の人間が応募者のスキルや人柄について確認できるため、いくつもの視点からの見極めが可能となるからです。
見極めの精度が向上すれば、入社してからの早期の活躍も期待しやすくなります。
入社前から十分なコミュニケーションを交わしているので就労環境へのフィットもスムーズとなりがちであり、適切な部署へと配属しやすくなるためです。
面接回数の多さは企業側だけでなく、応募者側にもメリットがあります。
自分に合うかどうか見極めたり、入社後のビジョンを描きやすかったりするなど、キャリア選択のための十分な材料を得られるからです。
しかし、面接回数を多くすることでデメリットも生じてしまいます。
まずは面接のスケジュール調整が難しくなることです。
就労した状態で転職活動している応募者も多く、そういった人々にとって日中に何度も面接のために時間を費やすのは簡単ではありません。
自社の面接官のスケジュールの調整にも限界がありますので、すべて応募者に合わせることは困難です。
また、他社の内定が先に出たため、自社の選考を辞退されるケースも考えられます。
応募者は必ずしも自社の選考だけを受けているのではなく、他社の選考にも並行して応募しているケースは少なくありませんので、応募者が先に得られた内定を優先してしまう可能性は十分にあります。
面接回数が多くなると、自然と内定までの時間がかかってしまうものですが、選考の結果、不合格としたとき、“長い時間ばかり費やして不採用にされた”との悪評が広まる可能性も考えられます。
SNSで気軽に誰もが情報発信しやすいほか、企業の口コミサイトもすっかり浸透している今日だからこそ、万が一の事態も想定しなくてはなりません。
まとめ
応募者を正確に見極めるためにも面接回数は多く設けたいものですが、面接回数を増やすことはメリットだけでなく、選考の辞退を生じさせてしまったり、面接を担当する従業員の負担を増やしてしまったりといったデメリットも生じさせます。
何を目的に面接を行うのか、面接担当者のスケジュール、応募者の数などを総合的に考えて面接の回数を設定すると、よりスムーズな採用活動に結び付きやすくなります。
ちょっと調べれば、平均的な面接回数を誰でも調べられることも踏まえ、応募者に不安や不信を抱かせないように面接回数を設定するのも大切です。
中小企業の場合にはほぼ面接は2回、1回あたりの面接時間は30分~1時間という目安を是非、参考にしてみてください。