人材サービス会社といっても、そのサービス内容が異なる場合があります。
構造的な問題で人材不足がより深刻なものとなっている今日、人事サービスを取り扱う会社のうち、もっとも注目を浴びているのが人材紹介会社です。
以下では、人材紹介会社についてより詳しくご紹介するとともに、人材派遣との違い、サービス利用のメリット・デメリット、人材紹介サービスを上手に利用するためのポイントなどを説明していきますので、今後の参考としてみてください。
人材紹介会社とは
人材紹介会社とは、求人ニーズを抱えている企業に、その会社が理想とする人物像に近い人材を紹介するサービスを行っています。
日頃から人材集めに努めており、求職者それぞれのスキルを正確に把握しているため、採用後のマッチングの度合いが高いのが特徴です。
基本的に紹介した人材を採用すると企業が決定してはじめて紹介料が発生する仕組みなので、求人企業が採用コストを抑えられるケースも多く、コストパフォーマンスに優れたサービスだとして評価されています。
同じ人材サービスといっても、人材派遣は人材の雇用主は人材サービス会社のままであり、当面の間は自社の従業員となるわけではありません。
料金体系は時間単価となっており、その中に人材派遣会社が得る手数料も含まれています。
また、求人サイトの場合は広告出稿費がかかりますが、必ずしも人材が得られるわけではありません。
求人広告を掲載し続けて採用コストが募っていっても、求職者の応募がない場合も考えられます。
これらサービスの弱点をカバーしているのが、人材紹介会社です。
人材紹介会社であれば、採用決定時にはじめて料金が発生する仕組みであり、その人材の所属先も自社となります。
人材紹介会社は人材サーチ、転職支援サービス、転職エージェントなどとも呼ばれていますが、いずれも厚生労働省によって定められている厳しい要件をクリアし、厚生労働大臣から有料職業紹介事業所であるための認可を得て開業しています。
人材紹介会社を利用するメリット・デメリット
人材紹介会社を利用するメリットとしてまず挙げられるのが、採用のために無駄なコストがかからない点です。
他の採用方法の場合には、採用に至らなかったとき、かけたコストはすべてロスとなってしまいますが、人材紹介を受ける場合には選考して採用決定した場合のみコストが発生するので、不要な採用コストをカットすることができます。
また、求める人材像に近い人物だけ紹介を受け、選考にかけられるので、採用活動に無駄な時間がかからない点もメリットに他なりません。
これは非公開で求人ができるメリットとも共通しています。
採用しないだろう人材との折衝や、採用と直結しない問い合わせをカットできるため、無駄な業務を避けられるようになります。
紹介を受ける人材は転職市場で積極的に自身を売り込んでいない人材である場合も多く、通常の求人では出会えない人材と出会える可能性もあります。
例えば、“いい転職先があれば紹介してください”と人材紹介会社に依頼して受け身での転職活動を行っている人材もいるためです。
人材紹介会社を利用するデメリットとしては、一人あたりの紹介手数料が安価ではない点が挙げられます。
紹介手数料の相場は本人年収の3割ほどなので、年収500万円の人材であれば、150万円ほどが紹介手数料となります。
また、人材紹介会社に必ずしも理想像の人材がいるわけではない点も挙げられるでしょうが、これについてはどのような採用方法においても同じといえます。
人材紹介会社の種類
一言で人材紹介会社といっても、それぞれ特徴があります。
職種に捉われず様々なスキルを持った人材を紹介する総合型、ある業界だけに特化した人材を豊富に揃えている業界特化型、ある職種だけを取り扱う職種特化型、その他にも年齢特化型や、地域特化型など、それぞれの会社が得意なジャンルを持っています。
加えて、紹介する方法も異なります。
もっとも一般的なのは登録型でしょう。
登録型とは、転職希望者が自身の情報を登録しておき、興味のある求人企業があった場合に応募することで、企業へと紹介される仕組みです。
このため、明確に転職を希望している人材が対象となります。
サーチ型と呼ばれる紹介方法もあります。
サーチ型を言い換えれば、ヘッドハンティングやスカウトであり、企業側のニーズに沿った人材を人材紹介会社が探して紹介する紹介方法です。
サーチ型の場合には、潜在的な転職希望者が対象となります。
もうひとつの紹介方法は、アウトプレースメント型と呼ばれるものです。
雇用の継続が難しくなった離職予定者の再就職支援を行う形式であり、必要に応じて教育研修やカウンセリングも行っています。
人材紹介会社を利用するときのポイント
上でご紹介したように、人材紹介会社はそれぞれ得意なジャンル、紹介方法を持っていますので、採用したいと思う人材像に合わせて人材紹介会社を選ぶようにするといいでしょう。
例えば、バックオフィス業務を担当する人材が欲しいのに、製造業への紹介に強い人材紹介会社に依頼したとすれば、なかなか紹介は受けられないでしょうし、その会社の取り扱う人材の中から強いて選んで紹介されたとしても、おおよその場合、理想像に近い人材として映ることはありません。
すぐに人材の紹介を受けたいのに、サーチ型の人材紹介会社へ依頼すれば、どうしても紹介を受けるまでに時間がかかってしまうでしょう。
経理担当者を採用したいのであれば、総合型またはホワイトカラー職が得意な人材紹介会社のうち、登録型の紹介を行っている先へと依頼すればスムーズに採用できるでしょう。
また、エグゼクティブなポジションの採用を検討しているのであれば、サーチ型の紹介を行っている先へと依頼するのがおススメです。
人材紹介会社を利用する場合、1社だけに限定する必要はありません。
採用決定を経てはじめて利用料金が発生する仕組みなので、複数の人材紹介会社に人材の紹介を依頼してもコストは変わりません。
紹介を受ける人材はそれぞれ求める人材像の要件を満たしているため、多くの人材から選考するようにすれば、より理想に近い人材の採用へとつながっていきます。
この点を考慮しても、複数の人材紹介会社へ依頼するメリットは大きいといえます。
この際、人材紹介会社との情報共有を綿密にしておくといいでしょう。
人材紹介会社が取り扱っている人材は常にアップデートされているため、関係性を密としておけば、タイムリーな紹介を受けやすくなります。
気になるのは採用決定時の紹介手数料が高額であることかもしれませんが、実際に採用にかかるコストをすべて加算してみれば、そう変わらないケースも少なくありません。
採用できないまま人員不足が解消できずに失われる生産性もコストとして加味すれば、人材紹介会社を利用して早々に採用したほうが割安である可能性もあります。
ずっと採用できないままでいた場合の、目に見えづらいコストにも注意を払うようにしましょう。
まとめ
中長期的な視点も含めれば、人材紹介会社へ採用成立時に支払う紹介手数料は決して割高とはいえません。
人材紹介サービスをより有効に活用するためには、その人材紹介会社がどのような点に強みを持っており、どのような方法で人材を紹介しているのか知っておかなければなりません。
例えば、社内で管理業務を行うバックオフィスで従事する人材を探している場合には、管理部門に特化した人材紹介会社を選ぶべきです。
専門的な知識と正確な業務が要求される職種ですが、適切な人材正気会社を選びさえすれば、それら経験者を有資格者も含めて紹介してもらうことが可能です。