離職率が高い原因は〇〇にあり!企業の改善事例

せっかく採用に成功したのに、すぐに辞められてしまったのでは元も子もありません。
再びコストと手間をかけて採用活動をリスタートするのは、企業にとって大きな負担となってしまいます。
加えて、離職率の高さは企業イメージに直結してしまいますので、将来の採用活動においてもネガティブな影響を及ぼしてしまいかねません。
この記事では離職の原因や離職率を改善させるためのポイントなどをご紹介していきますので、是非参考にしてみてください。

離職率とは

離職率とは常用労働者数に対する離職者の割合のことであり、働きやすさを表すひとつの指標として気にしている求職者も少なくありません。
計算方法はいろいろとありますが、最も簡単な計算方法は、期初の従業員数を分母とし、期初から期末までに退職した人数を分子とする方法です。
期初の従業員数が100名であり、その期末までに5人が退職したのであれば、離職率は5%と表記されます。
スタートアップ期のベンチャー企業であったり、結婚や出産を機に退職する人も少なくない20代後半から30代前半にかけて女性が多く勤めている企業であったりすればどうしても離職率が高くなってしまいがちであり、必ずしも離職率がその企業の就業環境を表しているわけではありませんが、一般的なイメージとして離職率が高い=就業環境が好ましくないと受け止められがちです。

中途採用の離職率は約3割

野村総研が中小企業庁の委託によってとりまとめた「中小企業・小規模企業者の人材確保と育成に関する調査」では、採用した中途採用者が3年以内に離職する割合は約30%となっています。
10人を中途採用すれば3人が辞めていく計算となりますが、言い換えれば、採用にかけたコストの30%が無駄になっていることを意味していますので、企業にとっては無視できない数字です。
欠員が出れば、再び採用活動を行わなくてはならないのも頭の痛い問題ですが、人材の入れ替わりが激しいと後進の育成にも支障をきたし、組織としての生産性の向上を思うように図れないなどの問題も生じてきます。

離職率は業界によって異なる

離職率の高さは業界によっても異なっています。
厚生労働省がとりまとめた「上半期雇用動向調査結果の概況」によれば、最も離職率が高かったのが宿泊業・飲食サービス業の14.7%であり、次いで教育・学習支援業の12.7%となっています。
反面、離職率が低い結果となったのが、製造業の5.3%、建設業の5.2%、鉱業・採石業・砂利採取業の4.0%です。
これだけの差が生じているのは、決して就労環境に問題があるからではなく、人材の流動性が大きな業界であるかどうかが影響しています。
例えば、鉱業・採石業・砂利採取業の場合には入職者数が0.6千人、離職者数が0.5千人となっているのに対し、宿泊業・飲食サービス業では入職者数が641.5千人、離職者数が642.8千人となっています。
つまり、離職率を算出する際の分子が大きく異なるため、宿泊業・飲食サービス業の離職率は高めとなってしまいます。

離職の原因TOP3

従業員が離職を決める原因は人それぞれですが、厚生労働省が発表した「雇用動向調査結果の概要」によれば、離職原因として最も多かったのが労働条件(約14%)であり、給料(約12%)、人間関係(約11%)と続いています。

労働条件

残業ばかりに追われたり、休日出勤が多かったり、休みそのものが少なかったりすれば、そうではない他の企業が魅力的に見えてしまうものです。
働き方改革、ワークライフバランスといった言葉もすっかり浸透している今日、多くの人々が労働時間の長短について敏感になりがちであり、残業の多さや休日の少なさは離職者の発生へと直結してしまいます。

給料

仕事の対価として受け取る給与によって生活している以上、その金額に不満を持てば、従業員がもっと良い暮らしを実現させるために転職しようと考えるのはとても自然なことです。
相場よりも低い給与ではモチベーションを維持できるはずもありません。
給与に影響を与える評価制度についても従業員はシビアな視線を向けています。
自分の働きが正当に評価されていないと思えば、給与への不満へとつながってしまうほか、就業意欲を失うきっかけにもなり得ます。

人間関係

長時間過ごす職場での人間関係が悪ければ居心地も悪く、もっと快適に働くことのできる環境を誰もが求めたくなるものです。
上司や同僚と上手くコミュニケーションが取れていない状況であれば、業務をスムーズにこなしていくにあたって難しい場面も生じがちとなり、思うようなパフォーマンスを発揮できないため、本来の働きであれば得られたはずの評価も得られずに給与も低いままという悪循環を招きかねません。
この結果、その従業員が離職を選択するのはごく当然のことといえます。

離職率が高い原因を特定する

離職率が高い状況を改善させるためには、なぜ離職者が生じているのか、その原因を把握しなくてはなりません。
離職した従業員も理由を告げて退職の意思を明確にしているはずですが、その従業員が企業へと伝えた退職理由は本当のことであるケースが少ないので、あまり参考とはなりません。
退職する場合には、“スムーズに退職したい”という想いが強いため、退職の意思を伝える上司と言い争いにならないよう、会社から引きとめられないよう、建前上の理由を口にしている場合が多いためです。
自社の離職率が高い本当の原因を探るためには、定着している社員から聞き取りを行うのが有効な方法です。
従業員の視点からの自社への評価を知ることができるほか、退職者が抱えていた就業上の悩みについて知ることも期待できます。

離職率を大きく改善した事例

離職率が高い状況を大きく改善させた会社として知られているのが、レオパレス21、サイボウズ、鳥貴族の3社です。
以下では、各社がどのような取り組みを行ったのか、簡単にご紹介していきます。

レオパレス21

もともと離職率が高い業界と言われている中、レオパレス21は2011年に業界の平均を大きく超える離職率となったのをきっかけに、2013年より離職率改善へと本格的に取り組みました。
改善策は研修の充実、人事・評価制度の見直し、労働時間の短縮の3つを柱としており、以降の離職率を3年連続改善させることに成功させるとともに、月あたり時間外労働時間を6時間短縮、有給休暇取得率の向上など、より働きやすい環境づくりを実現させました。

サイボウズ

100人いたら100通りの働き方があっても良いという考えのもと、在宅勤務制度や副業の許可の導入に積極的に取り組みました。
独自の取り組みとして知られているのが、人事制度策定プロセスです。
人事制度を社員が発案し、社員同士で議論を交わしながら策定させるこの施策は、社員のモチベーション向上にもつながり、かつて28%ほどだった離職率を4%へと大きく下げることに成功しました。

鳥貴族

人材の流動性が高い飲食業界において、鳥貴族はむやみに採用しない方針をとり、入社後に活躍できる人物であるかどうか見極めてから採用するようにしました。
加えて、新入社員の管理を店長だけに任せるのではなく、人事部が積極的に関与することで離職を未然に防止するよう取り組みました。

まとめ

コストと時間をかけて採用したのに離職されてしまえば、再び行わなくてはならない採用活動のために採用コストの二重払いを招くほか、人材がなかなか育っていかない環境となり生産性も損なわれてしまいます。
加えて、離職率の高さは企業イメージの低下を招く要因となり、将来的な採用にも支障をきたす可能性もあります。
離職率の高い状況を改善させるためには、会社側が働きやすい環境づくりに積極的に取り組むことが有効です。
皆さまの会社でも、働き方改革が提唱されるこの時代に沿った施策を講じることで、今後の離職率の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。