働き方改革やワークライフバランスの提唱など、プライベートも充実させながら働ける世の中づくりに社会が動いているように思えますが、採用担当者にとってこの光景は他人事のように映るかもしれません。
会社組織を動かす人材を必要な数、揃えなくてはならない採用担当者は状況によって激務をこなす日々へと追い込まれてしまいかねません。
以下では、採用担当者が激務である原因となり得る要素を確認しつつ、その改善策をご紹介していきます。
採用担当は本当に激務なのか?
同じ職種であっても企業によって忙しさは大きく変わります。
特に人事はその典型的な例であり、企業規模や離職率、今後の事業計画によって必要となる人材の質・量ともに左右される状況下、業務に勤しむ採用担当者の場合には尚更といえるでしょう。
社内のどの部署に人材ニーズがあるのか把握しつつ、それぞれどのような人材を求めているのか、人材像の設定を行わなくてはなりません。
その設定は人材ニーズそれぞれによって異なるため、取り扱う人材が多ければ多いほど採用担当者は忙しくなります。
これらはまだ採用活動の入り口に過ぎず、求める人材像に近い人物をどのように採用するのか採用計画を打ち立て、スケジュール通りの進捗を徹底し、採用目標の達成を図らなくてはなりません。
常に、何をいつまでに行わなくてはならないのか意識しなければならず、勤め先によっては心身ともに激務であると痛感することも少なくないでしょう。
上記のような採用担当者としての仕事内容だけでなく、採用を担う担当者の数が少なければ少ないほど忙しくなりますし、採用以外の業務も兼任している場合なども当然に忙しくなります。
その企業が人事などバックオフィスについてどのような価値観を持っているかによっても、採用担当者の忙しさは大きく変わってきます。
バックオフィスは直接、利益を上げる部門ではないため、売上を伸ばすことに人員を集中させたいベンチャー企業などではバックオフィスの人員が手薄となり、採用担当者にそのしわ寄せがくるケースも珍しくありません。
採用担当が忙しい原因
採用担当者が激務となりがちな原因としてまず挙げられるのは、深刻な人手不足です。
かつてのように求人票を掲示したり、求人誌に広告出稿したりしているだけでは、よほどの人気企業でもない限り、相当数の応募など得られません。
労働市場に次々と採用支援サービスが投入されているなど、利用できるツールは多様化していますが、これもまた採用担当者の仕事量の増加を促しています。
優秀な人材を確保するのは他社との競争そのものであり、他社が各種のツールを利用して募集の窓口を増やす以上、自社も負けないよう窓口の数を増やさなくてはなりません。
しかし、採用に利用できる便利なサービスが増えたからといって、その利用にかかる作業を行うのは採用担当者であり、採用担当者の人数が十分でなければ、一人当たりの労働量は増えるばかりとなってしまいます。
採用計画を打ち立て、人手不足の採用市場にプロジェクトを投入し、せっかく得られた応募は大切にしたいものであるため、応募者のスケジュールに合わせなければならない場面も少なくなく、自分で業務をコントロールしづらいのも採用担当者が忙しくなってしまう原因といえます。
転職市場では、就業したままの状態で次の就業先を探している転職希望者は多々います。
この場合、日中はなかなか時間が確保できないので、夜間に面接せざるを得ないこともあります。
採用計画のスケジュール通りの進捗を図ろうとする採用担当者にとって、このようなイレギュラーな対応はまさに時間の合間を縫うようなものであり、より一層の忙しさを覚えてしまうこともあります。
十分な数の求職者からの応募を得られる見込みがあれば話も異なってくるかもしれませんが、空前の人手不足だからこそ、従来以上に一期一会を大切にしなければならない状況も忙しさを後押ししているといえるでしょう。
また、経営者直下の指示が突然発生しがちなのも激務の要因となります。
会社組織に属する従業員として経営者の意向は最優先すべきなので仕方ありませんが、スケジュールのちょっとした遅れは後に響いてきますので、進捗に影響しないよう無理をしてでも本来のスケジュールで進めるために働かなければならない場合もあります。
採用担当の忙しい時期
採用活動の時期が到来すれば、採用担当者の仕事量はその訪れに伴って増加します。
選考が行われる時期の3か月前が目安となるため、新卒採用の場合には大学4年生の選考が解禁される6月の3か月前となる3月から説明会が開催されます。
説明会で使用する資料の準備、会場の手配、説明会への参加者を募る広報などを考えれば、前々から周到な準備が要されるのはイメージしやすいでしょう。
おおよその目安として、年始より説明会準備に取り掛かり、説明会開催時期が近くなるほど多忙となっていきますが、選考が終わってからも採用担当者の多忙は続きます。
新入社員を迎え入れるための準備、配属にかかる既存社員の配置調整およびフォロー、新入社員に向けた教育・研修体制の整備などの業務も生じますので、長期にわたって忙しい日々が続きがちとなります。
新卒採用以外に、中途採用にかかる業務も並行して行わなくてはなりません。
中途採用が活発になるのは3月~4月にかけてと、9月~10月にかけての時期です。
新卒採用者と一緒に募集・選考、教育・研修を行いやすいので採用コストを兼用できること、期末に生じる退職者の穴埋めを行わなくてはならないことなどが理由となります。
しかし、欠員補充や事業計画に沿って採用を行う中途採用の特性上、これらの時期以外にも採用活動が生じるのは珍しくありませんので、採用担当者はスケジュールに描いていなかった繁忙期を迎えることもあります。
採用担当の激務の解決策
採用担当者が手いっぱいの状況下、人材を確保するためにより一層の施策を求めようにも、なかなか思うようにはいかないでしょう。
激務な状況を改善させるためには、人材紹介会社を利用するなど外部を利用するのがおススメです。
人材を採用するための窓口は多ければ多いほど、理想像に近い人材を採用しやすくなります。
特に人材紹介会社の場合には紹介された人材を採用決定しない限り料金が発生しませんので、採用できないまま採用コストを積み上げていくよりはコストパフォーマンスに優れた結果となることも多々あります。
また、社内に協力を仰ぐのも採用担当者の仕事量を減らすための策となります。
採用担当者の業務そのものを手伝ってもらうのではなく、社内の人々の周りに理想とする人材像に近い人物がいれば紹介してもらうよう協力を仰ぎます。
この採用手法はリファラル採用とも呼ばれており、精度の高い採用が実現できるとして注目されています。
理想の人材像を共有するためにも、ペルソナを設定しておくことが不可欠です。
人物像を鮮明とするペルソナは協力の要請を受けた従業員個々が周囲にそれらしき人物がいるかどうかの明確な判断基準となるため、より多くの候補者を得るためにも役立ってくれます。
加えて、採用システムを導入するのも採用担当者の負担軽減につながります。
採用システムとは求人情報、応募者の管理、選考の進捗とその結果などをコンピュータ上で一元管理できるシステムであり、様々な種類の採用システムがリリースされています。
まとめ
採用担当者は採用目標を達成しなければなりません。
新卒採用時期はもちろん、中途採用も並行して行わなくてはならない採用担当者は激務となりがちですが、上でご紹介した改善策をこの機会に試してみてはいかがでしょうか。
3つの改善策のうち、人材紹介会社の利用はコストをかければ確実に採用できる一方、採用まで至らなければ費用発生しないのですから、まず試してみる価値があるといえます。
人手不足が深刻する一方のこれからにおいて、採用活動はより難しいものとなっていくのを考えても、これまでの採用活動を見直し、多角的な採用計画の立案と実施を行っていくべきであり、社内・外部ともに協力を仰ぎながら採用活動を進めていく必要があるのではないでしょうか。