全員が健康的に働ける職場であるよう、職場環境は安全かつ衛生的な環境でなければなりません。
これらを実現するために業務に従事するのが衛生管理者です。
衛生管理者は労働安全衛生法で定められた国家資格であり、一定規模以上の事業所においては衛生管理者を選任するよう義務付けられており、事業所の労働者数によって複数名の選任が必要となることもあるため、衛生管理者の資格取得によって転職活動を有利に進められることが期待できます。
衛生管理者とは
衛生管理者は職場が安全かつ衛生的であるように、専門家として作業環境の管理、作業管理、健康管理を行い、業務を起因とする体調不良や職業性疾病および死亡事故などを未然に防ぐための業務を担います。
衛生管理者になるには第一種衛生管理者か第二種衛生管理者を取得する必要があります。
第一種衛生管理者はすべての業種で衛生管理者となれる一方、第二種衛生管理者は情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業などデスクワークをメインとする業種でしか衛生管理者になれません。
衛生管理者の国家試験は公益財団法人安全衛生技術試験協会によって毎月1~3回ほど行われており、いずれも受験料は7000円ほどです。
取得した資格に有効期限はないので、いったん取得すれば更新手続きは不要です。
第一種衛生管理者もしくは第二種衛生管理者の試験に合格してから、自分で免許の申請を行うことで、免許証が交付されます。
第一種衛生管理者試験の難易度と合格率
第一種衛生管理者の試験では、関係法令2科目(有害業務に係るもの・有害業務以外に係るもの)、労働衛生2科目(有害業務に係るもの・有害業務以外に係るもの)、労働生理の計5科目が問われます。
5つの選択肢より正しい答えを選ぶ選択問題となっており、44問を3時間で解答します。
合格のボーダーラインは、それぞれの試験科目ごとの得点が40%以上であり、かつ全科目の合計点が満点の60%以上であることが必要です。
合格率は45%前後で推移しています。
第二種衛生管理者試験の難易度と合格率
第二種衛生管理者の試験範囲は、関係法令(有害業務以外に係るもの)、労働衛生(有害業務以外に係るもの)、労働生理の計3科目です。
第一種衛生管理者の試験と同じく五肢択一式であり、30問を3時間で解答します。
合格のボーダーラインは、第一種衛生管理者の試験と同様です。
第二種衛生管理者の合格率は50~55%のあいだを推移していますが、年々合格率が低下しています。
衛生管理者試験の勉強時間・勉強法
衛生管理者の試験対策は独学でも行えます。
資格取得を目指すための講習会などに参加する方法もありますが、それらに参加できる環境でなければ、参考書を購入するなどして学習を進めます。
参考書選びは、実際に本屋へと足を運んで、自分の目でチェックしながら自分に合ったものを選ぶようにするのがおススメです。
そして、選んだ一冊を最初から最後まで一通り、しっかりやり通すことが大切です。
よく陥りがちなのが、参考書やテキストを何冊も買い揃えるパターンですが、最初からこのパターンに陥ってしまうとすべて中途半端となってしまいかねません。
一冊の参考書をやり終えた段階で、問題集や過去問にチャレンジし、知識を固めていくといいでしょう。
衛生管理者に合格できるだけの知識を身につけるための勉強期間の目安は3か月ほど、勉強時間でいえば50~100時間程度とされています。
衛生管理者は転職にも有利
法律によって、常時50人以上の労働者が働く事業所では、企業は労働者数に応じて一定数の衛生管理者を選任しなければならないものとされています。
この規定は業種を問わず適用されるものであるのに加え、衛生管理者は原則として他の企業や事業所を掛け持ちできません。
こういった背景もあって、衛生管理者は様々な業種の企業より求められているため、資格取得しておけば転職時に有利に働くと期待できます。
衛生管理に係る業務は総務部や労務部で担当していることが多く、これらのバックオフィス部門への転職を希望しているのであれば、より幅広い選択肢に恵まれます。
まとめ
衛生管理者の資格取得は独学でも可能であり、勉強期間の目安も3か月ほどなので、決して難関資格ではありませんが、取得した場合には転職時に大きなメリットを得られます。
一定規模以上の事業所は必ず専属の衛生管理者を置かなくてはならないため、業種を問わず求められており、安定した求人数があることからキャリアの選択肢が広がることを考えても、チャレンジしてみる価値は十分にあるといえます。
年々、合格率が下がっている傾向を見ても、できるだけ早めのチャレンジがおススメです。
衛生管理者の資格を取得してからのキャリアプランが見えづらい場合には、転職エージェントに相談してみるといいでしょう。
豊富な実例をもとにアドバイスしてくれるほか、衛生管理者を求めている企業の紹介を受けられる可能性もあるためです。