40代の転職では実務経験に加えて、マネジメント経験の有無についても問われがちですが、それは採用する企業側だけの問題ではありません。
マネジメント経験を積めるかどうかは、40代の経理人材にとっても転職先を選ぶ上で重要なポイントだからです。
マネジメント経験は今後の更なるキャリアアップのために欠かせない要素であり、これからのキャリア形成を考える上で早期に組み込んでおいた方が良いためです。
この記事では、40代の経理職が転職を考えるきっかけやよくある質問をもとに、これからのキャリア形成や企業が求める条件などをご紹介していきますので、是非今後の参考にしてください。
40代の経理によくある転職理由
40代の転職ではマネジメント経験の有無を企業から問われがちですが、その経験を得られるかどうかが転職希望者にとっても就業先選びのキーポイントとなります。
現在の就業先でマネジメントポジションが順番待ち状態である、IPO準備中企業などで部下がいないポジションで働いているといった場合、マネジメント経験を求めて転職を希望する方も少なくありません。
また、何かしらの影響で業績が不安定になってしまい中長期的なキャリア形成ができない状況であったり、業界自体が不安定だったりする場合にも、先々のキャリア形成のために転職を希望しがちです。
その他の転職理由としては、業務内容ややりがいについて考え直したため、将来を考えてUターンして職場を選びたいため、といった理由が挙げられます。
特に後者については、ライフステージの変化が大きいといえます。
もう高齢となった親が心配になった、大学進学を機に上京してそのまま就職したものの地元に生活の拠点を戻そうと思っている、という理由より転職を希望する40代の方もいます。
転職時、企業が40代経理職に求めること
40代の転職では、これまで就業してきた企業と同水準の規模の企業へのキャリアチェンジとなりがちであり、その組織内で管理職または管理職候補として、これからキャリアを積んでいくためのポテンシャルがあるかをチェックされます。
管理職経験がなくても“何かしらのマネジメント経験があるかどうか“はほぼ必須で確認される事項なので、経験したことを具体的に話せる準備をしておくこと、経験していない場合にはマネジメント経験を今後どのように身に着けていくつもりかをしっかり話せるようにしておく必要があります。
40代経理職の年収目安
40代経理職の年収基準について、全体・男性・女性でそれぞれご紹介します。
40代経理の全体平均年収
・40代前半: 240万円～361万円
・40代後半: 282万円～404万円
40代経理男性の平均年収
・40代男性：397万円
40代経理女性の平均年収
・40代女性：299万円
ご紹介した年収基準は平均値なので、地方と東京では100万円ほど差が生じる場合もあります。
男性のほうが女性より年収が高い理由としては、ルーティンだけを担当する男性の経理担当者が少ないこと、責任あるポジションには男性を配置したがる旧来の考え方を持つ企業が多いこと、などの理由が挙げられます。
40代対象の経理求人事例
上場企業
①『東証一部上場製造業業界の経理部長』
年収600～1,000万円
業務内容
・決算業務（月次、四半期、年次）
・連結決算（国内外）
・税務申告書の作成
・監査法人対応
・財務諸表作成 等
②『東証一部上場IT・通信業界の経理部長候補』
年収800～1,100万円
業務内容
・部門のマネジメント
・月次・四半期・年次決算
・単体・連結財務諸表作成
・開示書類作成
・監査法人交渉 等
上場子会社
①『東証一部上場建築・不動産業界の経理課長』
年収700～900万円
業務内容
・経理業務全般（財務会計、管理会計、資金管理、税務対応）
・経営陣および事業部門長のサポート
・グループ連結決算対応（親会社管理部門との連携要）等
②『大手通信企業100％子会社での経理部長』
年収800～1,000万円
業務内容
・経理部門のマネジメント
・経理業務全般（売掛金・買掛金管理、固定資産管理、決算業務）
・税務申告書作成
・連結決算補助（子会社側）等
・開示業務（非上場 株主総会関連財務資料作成）等
IPO準備中企業
①『IPO準備中商社の管理本部長候補』
年収700～900万円
業務内容
・IPO準備業務
・税理士・監査法人・証券会社・金融機関対応
・資本政策・財務戦略の立案、推進
・メンバーのマネジメント業務（経理・財務、総務等）
・管理部門の体制構築 等
②『IPO準備中企業IT・通信業界のCFO』
年収1,000～1,500万円
業務内容
・資金調達
・資金繰り
・IPO準備に係る諸対応（金融機関、監査法人、証券会社）
・ストックオプション制度構築 等
40代経理の転職事例
40代前半男性『上場企業からマスコミ・広告業界から上場子会社同業界での管理部長ポジションに転職』
年収750万円→年収800万円
上場企業にて個別決算・連結決算・開示・税務申告までプレイングマネージャーとして経験しており、なかでも連結決算・開示を得意としていました。
これらの経験と知識について高い評価を受け、役員直下で経理財務業務を中心に管理部門全般を見るポジションへの転職に成功し、即戦力として経理体制を底上げしています。
40代前半女性『上場企業製造業界から上場子会社同業界の経理管理職候補で転職』
年収520万円→年収580万円
大手子会社にて上場基準の経理に15年以上携わり、連結決算まで担当。
財務にて資金繰り～資金調達、海外送金やグループ間資金移動に携わった後、10年以上にわたり原価計算、単体貸借対照表、単体損益計算書作成、連結財務諸表作成（貸借対照表、損益計算書）、部門別予算策定～予算実績差異分析などの経理業務を経験されました。
課長候補として部下2名の業務指導経験もあり、即戦力として経理の管理職候補ポジションへの転職に成功しています。
40代後半男性『新規IPO達成経験を活かし、IPO準備責任者のポジションで転職』
年収800万円→年収830万円
税理士事務所、非上場の中小企業、上場子会社、IPO準備中企業にて、一般的な経理業務に限らず税務申告書の作成や開示資料の作成、監査対応、管理会計、財務など様々な実務経験を積み重ねてきました。
直近では新規IPO達成も実現。
これらの豊富な経験と知識を評価され、IT・通信業界の急成長中IPO準備企業の責任者ポジションへと転職しました。
40代後半男性『上場子会社（製造業界）での経験を活かし、同業界の上場グループ企業にて経理管理職ポジションで転職』
年収770万円→年収830万円
東証一部上場子会社にて月次・四半期・年次決算、税務申告、連結パッケージ入力、原価計算・管理会計等を担当。最終職位は経理部長として部下2名をマネジメントしプレイングマネージャー業務に従事。
これらの経験を活かし、同業界での転職で年収アップにも成功しました。
40代後半女性『ベンチャー企業の管理部長からIPO準備中企業のCFOへキャリアアップ転職』
年収900万円→年収900万円
ベンチャー企業、上場企業の両方での経験があり、管理部長としてマネジメント業務も担当。
年次決算や税務申告書作成などの経験を積み、直近の数年は部長職として活躍。
ベンチャー企業の未整備な環境において部門の体制整備を行ったり、IPO準備にかかる業務も担当したりと、経験を豊富に積み重ね、IPO準備中企業のCFOにキャリアアップ。
より大きなやりがいを得られるとともに、更なるキャリアアップを図ることのできる転職に成功しました。
まとめ
40代の経理転職においてはマネジメント経験の有無が重要となってきますが、就業先の状況によってはなかなかマネジメント経験を得られない場合も考えられます。
現時点で転職について具体的に考えていなくても、将来的に転職する可能性があるならば、マネジメント経験を得ることの重要性について検討すべきといえます。
年齢を重ねれば重ねるほどマネジメント経験の有無が問われるようになるため、ずっと経験しないままでは自身の人材価値の向上へとつながっていかないので、あえて所属組織を変えることでマネジメント経験を積むという選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。
経理職の場合には転職先でどのようなキャリアを積み重ねていくのか見えづらいことも少なくありませんが、転職エージェントを活用することでビジョンが鮮明となります。