経理としてキャリアアップを考える際の魅力的な選択肢として、上場準備中の企業への転職が挙げられます。
上場を目指す企業には活気があり、常に新たな刺激を受けられるほか、スキルアップや収入上のメリットも期待できます。
この記事では、経理として上場準備中の企業へ転職する場合について取り上げ、就業するメリット、求められるスキル、年収事情などをご紹介しますので、今後のキャリアプランを描くための参考にしてみてください。
上場準備で経理に転職するためには
上場準備中の企業は著しい成長過程にあることが多く、営業部門や開発部門など直接利益につながる部門の人材が充実していても、バックオフィスが手薄となりがちです。
このため、上場準備中の企業に転職するバックオフィスの人材には、広範な業務について即戦力としての活躍が期待されます。
中小企業であれば、経理と財務を同一人物が担当しているケースは珍しくありませんが、上場する場合には経理担当者と財務担当者を別人としなければなりません。
これは上場すれば一般投資家による株式売買の対象となるため、内部に不正が生じないよう法律で定められているからです。
こういった背景もあり、経理担当者として上場準備中の企業で就業するには経理のプロフェッショナルであることが求められるので、転職時にはできるだけ自身のスキルを高めておく必要があります。
上場準備で経理に求められるもの
上場に向けて様々な準備を進めなければならず、経理担当者には上場企業レベルの広範な知識が求められます。
中小企業の場合にも決算業務に携わる機会はありますが、上場準備中の企業が作成しなければならない決算書とは内容が異なりますし、有価証券報告書をはじめとする投資家に対して公開する書類の作成も行わなくてはなりません。
これらの業務は専門家のアドバイスも仰ぎながら進めていくことが多いので、その内容についていける知識だけでなく、円滑なコミュニケーションを交わす能力も求められます。
また、上場準備時には経理業務とは直接関係のない業務も増えます。
例えば、経理関連の規定の整備があります。
上場準備中の企業は内部統制の評価が義務付けられており、経理担当者が経理関連の内部統制の構築を担う場合もあり、細かな作業が要求されます。
上場準備中の会社に経理として働くメリット
上場準備中の企業で働くには広範な知識を求められ、中小企業では体験することのなかった業務への対応も要求されることから、より幅広いスキルを身に付けられます。
上場準備を進めていくための業務経験は、すでに整備された上場企業で働くだけでは得られないものであり、これから上場を目指す企業であればどこでも応用できる汎用性があるので、経理担当者としての自分の人材市場価値の向上にもつながります。
収入面でも上場準備中の企業ならではのメリットを期待できます。
著しい成長過程にある企業は少数精鋭であることが多く、一人あたりへの利益配分が大きくなるためです。
また、上場準備中の企業では福利厚生として社員へのストックオプション制度を取り入れている場合があります。
自分が日々貢献する会社が成長すれば、より多くの資産を手に入れられるため、やりがいを持って業務に取り組んでいきやすい環境も得られます。
上場準備企業の経理の年収は？
上場準備中の企業で経理担当者として活躍するには、広範な知識が要求され、経理以外の業務も担うようになりますが、こういった事情がそのまま反映されて高収入となるわけではありません。
これまでバックオフィスにコストをかけてこなかったので、給与水準を考えるときに他社を参考にするなど、経理職の平均的な相場を意識するケースも少なくないためです。
しかし、上場に向けて発生する業務に対応できる経理担当者の人材価値を見直す機会は多く、もっとバックオフィスを充実させたいとの考えから給与水準の引き上げが行われる場合も十分に考えられますし、大きな利益を出したときの配分を受けられる可能性もあります。
上場準備企業へ転職した段階では一旦、年収が下がるかもしれませんが、その状態がずっと長続きするわけではないと、転職後の年収については中長期的な目線で考えるようにするのがおススメです。
まとめ
上場準備に携わった経験のある経理担当者は、これから上場を目指す企業にとって魅力ある人材となるため、上場準備中の企業で経理として働くことはキャリアアップに直結していきます。
ルーティンだけをこなすのではなく、活気ある組織の中でこれまで経験したことのない業務を担当しながら、自身の収入にも会社の成長が反映されていくのも上場準備中の企業で働く魅力です。
こういった環境に身を置きたいときには、まず転職エージェントに相談してみるのがおススメです。
上場準備中の企業は外から見えづらいことが多く、実際の就労環境がどのようなものであるか、上場するまでの予定がどうなっているのか、など十分な情報を得づらいためです。転職エージェントであれば、顧客である求人企業の内情に精通しているので、生きた情報の提供を期待できるほか、水面下で動いている求人の紹介も期待できますので、是非ご相談してみてはいかがでしょうか。