法務部に転職する際の基礎知識!重要な資格やキャリアパスなどを解説!

法知識を駆使して企業利益の最大化を図る法務部で働くには豊富な専門知識を身に付けている必要があるため、転職を希望する人材には高いスキルが求められますが、いざ転職活動に取り組んでみようと思っても具体的にどういったスキルが必要であるのか見えづらいものです。
この記事では法務部への転職を希望する方のために、転職の際に役立つスキル、転職後のキャリアプランなどをご紹介していきますので、今後の参考にしてみてください。

法務部への転職の際有用な資格は?

法務部で働くには専門的な知識を要求されますので、転職を希望する際には採用担当者に向けて自分がどのような知識を持っているのかアピールする必要があります。
しかし、ただ“私はこういった知識があります!”、“法律には詳しいほうです!”とアピールしても、採用担当者にはあまり響きません。
やはり、客観的に知識を有することの証明となる資格は有力なアピール材料となります。
どのような知識を習得しているのかわかりやすく、その知識を確かに持っていると判断できるため、採用担当者は自社の求めている人材にマッチするかどうか判断しやすくなるからです。
企業によって求められる知識やスキルが異なりますので、以下に高い評価受けやすい資格を7つピックアップしてご紹介します。

個人情報保護士

 

個人情報保護士は個人情報の保護に関する専門家です。
個人情報の流出は企業イメージを大きく損ないますので、多くの企業が個人情報保護に力を入れており、個人情報保護法やマイナンバー法の知識、個人情報も含めた情報セキュリティ対策について実務に活かせる専門的な知識を持つ、個人情報保護士の資格を取得していると高い評価を受けるケースも少なくありません。

マイナンバー実務検定

マイナンバー制度の理解と、マイナンバー法についての知識、マイナンバーに関するガイドラインについて学ぶ資格です。
難易度の低いほうから3級・2級・1級に分かれており、ビジネスパーソンとしてマイナンバーに関する業務に従事するには2級以上の取得が評価されます。

弁理士

弁理士は特許権や実用新案、著作権をはじめとする知的財産に関する専権業務事項を持つ専門家です。
特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの知的財産権を取得するために特許庁に手続きを行ったり、自社の知的財産権が侵害されたときの対応を行ったり、自社が他者の知的財産権を侵害していないかどうかチェックするなどの業務に従事します。
知的財産に関して国内で最も難易度の高い資格であり、独立開業できるほどの専門的な知識を有していることから、弁理士を取得している人材を高く評価する企業は多々あります。

知的財産管理技能検定(R)

知的財産管理技能検定(R)は知的財産を管理する技能の習得レベルを測定・評価するための資格であり、同資格を取得していれば、技術やブランド、デザイン、コンテンツなどの知的財産をマネジメントするための業務に従事するための知識を有していることの証となります。
3級から1級まで分かれており、もっとも難易度の高い1級は特許専門業務・コンテンツ専門業務・ブランド専門業務の3つに分かれています。

ビジネス著作権検定(R)

ビジネス著作権検定(R)は著作権に関する知識を問う検定試験であり、BASIC・初級・上級に分かれています。
BASIC・初級はそれほど難しくなく、得られる知識も基礎的な内容なので上級を取得すると法務部への転職に活かしやすくなります。
上級に合格するには著作権の利用における問題点を発見し、解決するための知識も必要となり、実務に直結する学習内容となっています。

貿易実務検定(R)

貿易実務検定(R)は貿易における実務能力・知識がどの程度のレベルにあるのかを客観的に測り証明することができる検定です。
A級・B級・C級に分かれており、貿易を業とする企業では取得が必須となっている場合もあります。

通関士

通関士は輸出入の手続に関する専門家であり、輸出入の許可を出す税関に貨物を通すなどの仕事を担います。
「通関書類の審査」、「通関書類への記名・捺印」という独占業務を持っており、財務省が管轄している貿易業界唯一の国家資格です。
通関手続には高度な専門知識が要求されるため、企業によっては通関士を取得している人材を高く評価する場合もあります。

採用担当者が求める法務部の人物像とは

法務で活躍する人物像の条件としてまず挙げられるのが勤勉さを備えている点です。
法務は専門的な法知識を身に付ける必要があり、自発的に勉強して知識を積み重ねていかなければなりません。
そして、知識をアウトプットする際には細かな箇所までケアするための注意深さも要求されます。
例えば、契約書をチェックする場合、先々のトラブルの種となり得る箇所がないかどうか隅まで確認しなければなりませんし、その判断においては“なぜそのままではいけないのか”、“どのようにすべきなのか”といった論理的な判断も要求されます。
法務担当者は法律面から企業活動における利益の最大化をサポートするのが仕事ですが、自社にばかり都合の良い内容を貫き通すことはできないので、高い倫理観を持って自社の主張が通るように講じる必要もあります。
今日のよう、コンプライアンスに社会が厳しい目線を向ける状況下でも企業活動がスムーズに進められるよう、変化への対応力も重要な要素となっています。

目指すべき法務部のキャリアとは?

法務担当者としてのキャリアパスは大きく2つの道に分けられます。

まずは法務スペシャリストとしての道です。
特定の領域に絞ってキャリアを積み重ねていくことによって高い専門性を得られるため、そのスキルを活かせる環境であれば高い評価を受けやすくなります。
例えば、契約法務のスペシャリストであれば、法務担当者にとって馴染みのある業務についてスキルを高めていくので決して難しいキャリアパスではありません。
しかし、汎用性があるからこそ自分の人材価値をより高めるために、ある業界やビジネスに特化したスキルを身に付けておくのが理想的です。
また、知財法務のスペシャリストであれば、法務部とは別に知財部を設けている企業もあるほど専門性の高い分野に特化したキャリアを積み重ねていくことができるので、より有利なキャリア形成を図れます。
その他では法律関連の資格を取得し、その専門領域の範囲内でスペシャリストを目指す方法もあります。

もう一方は法務ジェネラリストを目指す道です。
ジェネラリストは広範囲の業務を担うことで、幅広い知識を身に付けていくことができますので、最高法務責任者やジェネラルカウンセルといったポジションに就いたり、マネジメント職として経営陣に加わったりといったキャリアもプランニングできます。
幅広く活かせる専門性を持っている人材と評価されるので、異なる業界や業種への転職にも優位性を持ちやすくなります。

担当業務が細分化されている大企業ではスペシャリストが、広範な業務を担当する中小企業ではジェネラリストが育ちやすい傾向があるため、自分のキャリアパスをイメージしながら、そのゴールに向かっていくことができる先であるかどうか熟慮して転職先を選ぶ必要があります。
単独で法務部を構えていない中小企業の場合には、法務以外にどのような業務を担当するのか把握しておくと、後々のミスマッチを避けやすくなります。

まとめ

法務担当者としてキャリアを積んでいくためには転職時点で相応の法知識を身に付けておかなくてはなりませんし、転職してからも日々自己研鑽に努めていかなくてはなりませんが、それらの日々を通じて得られる専門性は人材価値を確実に高めてくれます。
しかし、専門性の高さはキャリアパスの変更を難しくしてしまう点に注意が必要です。
法務ジェネラリストを目指したかったのに、大企業のように狭い範囲を専門的に取り扱う法務部に入ってしまえばミスマッチを覚えてしまいますので、事前に入念な情報収集が必須です。
外から業務内容の見えづらい法務部に関する情報収集を行うには転職エージェントの利用がおススメです。
転職エージェントは豊富な情報を持っており、就業した後のイメージをしっかり持てるため、より精度の高い転職活動ができるようになります。