CFO（最高財務責任者）は経理部門を担う役員という立場だけでなく、資金調達や運用といった財務戦略の立案と執行も担う重要なポジションです。
より一層の企業財務の健全性・透明性が叫ばれている今日、専任のCFOを置く企業も増えてきました。
この記事では、CFOはどのような業務に携わっており、どういったスキルや経験が必要になるのか、CFOになるためにはどうしたらしいのか、などを取り上げていきますので、今後のキャリアプランの参考にしてください。
CFOの仕事内容
CFOは単純に経理・財務の最高管理者という立場であるだけでなく、CEO（最高経営責任者）同様に経営判断を行うポジションであり、企業成長のカギを握っている存在です。
事業の将来的な予測を立てつつ財務戦略を経営戦略へと反映させていくのがCFOの仕事であり、企業活動に欠かすことのできない資金をどうやって調達するのか、調達した資金をどのように配分し、その後の管理を行っていくのか、CEOへ財務的な観点より提言するなど、業務内容は多岐にわたります。
これらの流れについて株主をはじめとするステークスホルダーへ説明責任を果たすのもCFOの仕事です。
会社の資金は株主や投資家から預かったものであり、それらをどのように運用しているのか、納得してもらえるようにエビデンスの伴った説明を行うことはとても大切です。
財務について透明性と健全性を強く求められるようになった今日、CFOはより重要な存在となっています。
CFOになるために必要なスキルや経験
CEOになるためには経理や財務についての専門的な知識も必要ですが、それらだけに精通していればいいというわけではなく、全体を見ながら経営判断を行っていくためにも幅広いジャンルに通じている必要があります。
会社の経営状態を示す数字を見ながら、それらの数字が一体何を意味しているのか読み解き、経営戦略の進捗を把握するとともに、より一層の改善点を見出していかなくてはなりません。
このため、CFOになるには経理や財務の知識に加え、マーケティングについての知識も要求されますので、経理・財務以外の業務経験も大切です。
また、各方面を管理しながらCEOに提案を繰り返していくという立場上、コミュニケーション能力やリーダーシップも必要です。
CFOは経営陣の一人なので、CEO同様に組織全体を見ながら、最適な判断を行っていく経営者としての視点も不可欠です。
CFOになるための資格はある？
財務戦略を経営戦略へと反映させるCFOは多岐にわたる知識を要求されるため、ある資格を取得したことでCFOになれるわけではありません。
日本ではCFOは経理・財務部門の最高責任者であるという認識が強いため、公認会計士からCFOになるパターンがやや多く見られますが、必ずしも公認会計士である必要はありません。
MBA資格取得者がCFOとなっているケースも同様に、MBA資格者だからCFOになれたわけではないので、これといってCFOに直結する資格はありませんが、これからCFOを目指すのであれば、日本CFO協会が実施しているFASS検定を受けてみるのがおススメです。
FASS検定は経理や財務の実践的な能力を問われる試験なので、受験に向けた学習に取り組むことでCFOとして必須の知識を効率よく学ぶことができます。
また、日本CFO協会では４つのジャンルに分けたCFO資格認定も行っています。
CFOは多様なキャリアがある
CFOになるには特定の資格を取得するのではなく、経理・財務以外の幅広い分野について精通していることが必要なので、実際にCFOで活躍している方たちのキャリアはそれぞれ異なっています。
採用への積極性で話題になることの多いメルカリのCFOである横井氏は、4～5年の人事担当者としての経験を積んだ後、法律・会計・税務について学習し、バックオフィス業務を幅広く担当して同社のCFOに就任しています。
事務用品や印刷物でお馴染のラクスルのCFOである西田氏は、大手企業で経理担当者として経験を積んだ後、ベンチャー企業へ転職して上場準備など幅広い経理・財務業務に携わった経験を活かして今日に至っています。
また、株式会社ユーグレナは2019年に“18歳以下のCFO募集”を行い、実際に1名のCFOを採用しています。
これらの事例からもわかるように、CFOになるには様々なキャリアプランがあります。
まとめ
CFOは経理・財務の最高責任者として、CEOのパートナーとして、会社の経営を支えていかなくてはならないため、大きな責任の伴うポジションであり、とても大きなやりがいを得られます。
財務について健全性や透明性をより強く求められている今日、CFOへのニーズも高まってきています。
CFOになるには、必ずしも難関資格を取得している必要はないため、様々なキャリアからでもルートは通じています。
これからCFOを目指すのであれば、まずは転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。
今後、IPOを控えている企業を紹介してもらい、そういった企業へ転職して上場を果たせば、上場企業のCFOになれる可能性もあるためです。
また、自分がCFOになるためにどのような知識が必要であるのか、自分の足りない部分についてアドバイスも受けられるなど、きっと有意義な情報を得られるでしょう。