30代未経験の税理士の転職できるのか?

30代になって初めて税理士業界に入る方は少なくありません。
働きながら税理士試験に合格するには時間がかかってしまうことが多く、税理士の資格を取得するには最低でも2年間の実務経験が必要となるためです。
この記事では30代になって税理士になり、これからのキャリアについてお考えの方に向けて税理士の転職事情について解説いたします。
転職時に年齢はネックになるのか、どれほどの年収を期待できるのか、どのようなキャリアを歩んでいくのか、などを取り上げていきますので是非参考にしてみてください。

未経験の税理士の転職に年齢はネックになる?

30代になると転職は難しい、未経験者となれば余計にハードルが高くなる、というイメージを抱きがちですが、税理士の転職の場合には年齢はさほどネックになりません。

第一の理由は税理士が不足しているからです。
少子高齢化の影響もあり、税理士試験の受験者数は減少傾向にあります。
2019年度の受験者数は2万9,779人から2020年度の受験者数は2万6,673人と10%近くも受験者が減少しています。
しかし、税理士法人や会計事務所の数は増えているので、どうしても税理士の数が足りなくなります。

第二の理由として、税理士の高齢化が挙げられます。
税理士の平均年齢は60歳前後であり、過半数が60歳を超えているなど、大きな年齢的な偏りがあります。
これに続いて50代、40代の順に税理士の数が多くなっていることから、30代を含む若手税理士の数はとても少なく、業界全体として次の世代を担う税理士の育成が急務となっています。

このような背景より税理士の転職は売り手市場となっているため、30代未経験の税理士も転職に成功しやすく、年齢は決してネックにならないといえます。
しかし、未経験でも成功しやすいのは30代前半までであり、30代後半になれば実務経験を求められる傾向が強くなります。

未経験の税理士を歓迎する税理士事務所とは?

未経験の税理士が転職しやすいのは、個人で経営している会計事務所や小規模の税理士法人です。
税理士の数自体が不足している状況下、知名度が低いのも相まって応募者数が少ないため、自ずと選考に通過しやすくなるためです。
大手や中堅の税理士法人が設けているようなハイレベルなスキルや実務実績を問われることも少ないので、税理士として専門的な知識を持っていること、入所への熱意を持っていること、などがそのまま評価ポイントとなりがちです。
未経験でも歓迎される税理士の条件として、素直であること、勉強熱心であること、秘密を守れること、などが挙げられますが、より重要なのはコミュニケーション能力が備わっているかどうかです。
個人で経営している会計事務所や小規模の税理士法人はクライアント企業との距離感が近く、経営者と直接やり取りする機会も多いため、その時々に応じた柔軟なコミュニケーションが顧客対応の一環として必要となってくるためです。
事務所の規模が小さいほど、同僚との距離感も縮まってくるため、コミュニケーション能力はとても大切なスキルのひとつといえます。

30代税理士の年収

令和2年賃金構造基本統計調査(厚生労働省実施)によると、税理士の平均年収は約958万円となっており、30代税理士の平均的な年収は約961万円となっていますが、この数字にはBIG4で働いていたり、税理士事務所を経営していたりするような高年収の税理士も含まれているため、30代未経験の税理士が期待できる年収とはいえません。
税理士の年収は業務経験年数や、科目合格数に伴って上がっていく傾向があり、30代税理士の平均的な年収が約961万円であるというのは、税理士資格を持っており実務経験も備わっている税理士が多くを占める数字と考えられるためです。
そこで、ワンランク業務年数の浅い25~29歳の平均年収を見てみると506万円となっていますので、未経験という点を加味して考えると、30代未経験の税理士の年収目安は506万円~であるといえます。
ただし、今回参考にした賃金構造基本統計調査の平均年収には税理士だけでなく、より難易度の高い公認会計士も含まれているため、実際の年収目安はここで記した数字よりもやや下回る可能性があります。

30代後半からの税理士のキャリアはどうなる?

人材不足と高齢化の2つの問題を抱えている税理士業界では、30代の税理士はまだまだ若手であると取り扱われるため、30代からキャリアをスタートしている税理士も少なくありません。
しかし、30代は前半と後半とでキャリアが変わってくる点には注意が必要です。
30代前半のうちは税理士の資格を取得していない科目合格者でも採用される可能性がありますが、30代後半になると年齢と経験がマッチしているかどうかを見られるようになります。
30代後半の税理士の転職先としては、会計事務所や税理士法人だけでなく、一般企業やコンサルティングファームなどが挙げられます。
これらの転職先のなかから、クライアントの規模を大きくしたい、専門性を高めたい、独立開業を目指したい、など税理士の皆さまそれぞれの希望に合わせてキャリアを選んでいくことになります。
自分にピッタリのキャリアを見つけるには、まず方向性を決めなくてはなりません。
そのために必要なのも実務経験となってきますので、できるだけ早期に希望する分野の実務経験を積むことができる先へと転職するのもひとつの選択肢です。

まとめ

税理士試験は難易度が高く、4~5年かけて税理士になり、30代から税理士としてキャリアをスタートさせる方も少なくありません。
以降のキャリアでは実務経験がポイントとなってくるため、転職先選びの際には税理士としてどのような実務経験を積むことができる先であるかも含めて考えなくてはなりません。
しかし、税理士という特殊な業界なだけに、転職先としてどこが自分に合っているのか判断に困る方も多数いらっしゃいます。
そのようなときにおススメなのが転職エージェントに活用です。
税理士の転職サポート実績を豊富に持つ転職エージェントであれば、専任のキャリアアドバイザーが税理士の皆さまそれぞれの希望に沿いながら、これからのキャリア形成をサポートしてくれます。
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