4~5年かけて税理士の資格を取得する方もいらっしゃるなど、税理士資格の取得には時間がかかってしまうため、30代になってから税理士としてのキャリアをスタートする方も少なくありません。
しかし、年齢を重ねていくほどに転職の難易度が上がっていくのは税理士も同じなので、できるだけ転職回数は抑えるためにも、転職先は慎重に選びたいところです。
この記事では税理士がより良い転職先を見つけるための方法について解説していきますので、是非今後の参考にしてください。
主な税理士の転職先
税理士の主な転職先を以下にご紹介します。
税理士法人・税理士事務所・会計事務所
税理士法人は2名以上の税理士によって設立・運営されており、支店を設けることもできるため、なかには全国展開している先もあります。
一方、税理士事務所と会計事務所は基本的に一人の代表者である税理士・公認会計士とスタッフによって運営されている事務所です。
事業会社の経理
税理士の転職先には一般的な営利企業も含まれています。
税理士へのニーズは大手企業のみならず中小企業からも寄せられていますが、税理士が担当する業務は企業規模によって異なってきます。
企業規模が大きい場合には税務に専念することが多い一方、中小零細規模の企業では経理や財務などの幅広い業務に従事することが多く見られます。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームはそれぞれ特性を持っていますが、税理士を求めているコンサルティングファームは主に財務・会計系、企業再生、経営コンサルティングを専門にしています。
財務・会計系のコンサルティングファームでは、株式公開支援、M&A支援、事業承継支援、企業再生支援、海外進出支援など、経営コンサルティングを専門としている先ではシステム構築や経営戦略に関する知識を求められます。
金融
金融機関の場合には、法人向けの事業承継や組織再編、個人富裕層向けの資産管理コンサルティングなど直接顧客対応を担うフロントオフィス、自社の経理や税務を主に担うバックオフィスのどちらからも税理士へのニーズが寄せられています。
転職先が税理士事務所の場合
税理士事務所へ転職する場合、別の税理士事務所に転職する場合と、事業会社から税理士事務所に転職する場合の2つに分かれます。
前者の場合、どのような実務経験を積むことができるのかも大きなポイントとなりますが、年収を理由に転職する方も多くいらっしゃいます。
どれだけスキルを持っているのかも重要ですが、おおよその給与は事務所ごとに異なっているため、より高収入を得たいと思ったときには、その希望に沿うだけの給与テーブルを持っている事務所へと転職する必要があります。
後者の場合には、広範な業務を担当してゼネラリストとなるよりも、専門性を高めてスペシャリストになりたいというキャリアプランを理由に転職する方が多く見られます。
この場合にも、それぞれの税理士事務所が設けている給与テーブルが大きく変動することは考えづらいため、転職先でどのような実務経験を積むことができるのかが大きなポイントとなってきます。
転職先が一般事業会社の場合
一般事業会社に転職する税理士の多くが経理部門へと配属されますが、税理士としての専門性を活かし、税務やM&Aなどハイレベルな知識を求められるポジションでスペシャリストとしての活躍を期待される場合も少なくありません。
企業規模は様々であり、それぞれの企業が給与テーブルを持っているため、その内容に沿って年収が決まります。
ボリュームゾーンは年収500万~600万ですが、キャリアを積み重ねてCFO(最高財務責任者)や経理部長といった管理職へと昇進することができれば、1000万円を超える年収を得られる場合もあります。
税理士を雇い入れられる企業の規模は大きいことが多いので、基本的には安定した高収入を期待できます。
一般事業会社への転職理由は、ワークライフバランスの重視を挙げている方が多く見受けられます。
一般事業会社ではサラリーマンとして働くため、繁忙期と閑散期はあるものの、基本的には決められた就業時間内での勤務となるため、仕事とプライベートを両立しやすくなります。
転職先が金融機関の場合
金融機関での勤務はフロントオフィス業務とバックオフィス業務の2つに大別されます。
フロントオフィス業務では法人向けに事業承継および組織再編のコンサルティングを行ったり、個人富裕層向けに資産管理のコンサルティングを提供したり、中小企業やベンチャー企業を相手にM&Aや資金調達のサポートを担当したり、と直接的な顧客対応を担います。
一方、バックオフィス業務では経理や税務申告書・税務意見書の作成を担当するなど、管理業務をメインに取り扱います。
金融機関は企業規模が大きく、他の業種と比べてやや年収も高めに設定されている傾向があり、30代で年収650万~1,000万円以上を得られる場合もあります。
投資銀行業務やプライベートバンキングを取り扱っており、成果連動型報酬が導入されていれば数千万円の年収も期待できます。
バックオフィス業務の場合には税理士としての専門性を活かせること、フロントオフィス業務の場合には将来に向けた人脈づくりもできること、が転職理由として多く見られます。
転職先がコンサルティングファームの場合
コンサルティングファームには税理士の専門性を活かしやすい財務・会計系のコンサルティングファーム、より広範な知識を求められる経営戦略系のコンサルティングファームなどがあります。
財務・会計系のコンサルティングファームでは、株式公開支援、M&A支援、事業承継支援、企業再生支援などの業務を担当するため、税務の実務経験を積めるだけでなく、コンサルティング業務の経験も積むことができます。
年収は500万~800万円が目安となりますが、マネージャークラスになると1000万円以上の年収も期待できます。
税理士がコンサルティングファームに転職する際の理由としてまず挙げられるのが、より専門性を高められるという点です。
また、コンサルティングの実務経験を積めるのも魅力的であるとされています。
税理士が新しい業界に転職するなら何歳まで?
税理士業界は人材不足と言われている大きな理由は高齢化です。
税理士の平均年齢は60歳以上であり、40代の税理士も若手扱いされることもあるため、40代税理士も転職しやすいとの意見もありますが、未経験分野への転職はとても難しくなります。
40代の人材を採用する企業は“これまでの経験をどのように活かして貢献してもらえるのか”を重視するとともに、専門性の高さやマネジメント能力なども求めているからです。
同じ理由から、30代後半も同様の取り扱いとなると考えられます。
このため、新しい業界に転職するには34歳までなら転職しやすいという結論に行きつきます。
4~5年かけて税理士試験に合格する方も多く、2年以上の実務経験が要されることから、30代になって税理士としてのキャリアをスタートするケースも少なくありません。
このような背景より、30代前半のうちなら未経験であっても専門性とポテンシャルを評価されて転職に成功する可能性は十分にあるといえます。
まとめ
人材不足と高齢化という課題を抱える税理士業界において、若手税理士は希少な存在となるため、転職市場では各方面からのニーズが寄せられており、若手税理士の目の前にはキャリアの選択肢が豊富に並んでいます。
しかし、転職先選びは慎重を期さなくてはなりません。
税理士になるには時間がかかるため、キャリアをより充実させるには先々の転職回数を減らさなくてはならないからです。
豊富な選択肢から自分に合った先を見つけるのが難しいと思ったときには転職エージェントの活用が便利です。
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