弁護士資格は3大国家資格とも言われ医師、公認会計士と並ぶ難関資格です。
ドラマなどでも題材として取り上げられることが多く、なんとなくイメージはつきやすいものの、実際の弁護士の働き方について熟知されている方は少ないのではないでしょうか。この記事では弁護士の定義を説明した上で、弁護士になる方法・働き方について解説していきます。
弁護士とは
弁護士とは法知識をもとに法律事務を担う法律の専門家です。
法律上のトラブルを抱えた当事者の代理として民事・刑事の訴訟対応をはじめとする業務をメインに、法律事務所で対応しているイメージが強いかもしれませんが、近年では一般企業で法務担当者として働く企業内弁護士(インハウスローヤー)の数も増えています。
この背景にはビジネスの拡大に伴い、企業が企業法務に重きを置くようになった結果、法務部を自社で独自に構える企業が増えたことが挙げられます。
弁護士になるには
司法試験に合格した後、弁護士資格(国家資格)を取得し、弁護士として登録しなければ弁護士を名乗ることはできません。
司法試験を受けるには、法科大学院で所定期間学ぶか、予備試験に合格する必要があります。
司法試験は短答式試験と論文式試験で構成されており、短答式試験では憲法・民法・刑法の3科目、論文式試験では公法系科目・民事系科目・刑事系科目・選択科目の4教科について問われます。
司法試験に合格した後、1年間、法律事務所や裁判所、司法研修所などで所定の研修を受け、研修終了後の研修所の試験に合格すると弁護士資格を取得できます。
弁護士のキャリアパターン
弁護士のキャリアパターンは大きく3つに分かれます。
まずは法律事務所で弁護士として働くパターンです。
一言で法律事務所と言っても、一般民事・刑事法律事務所、企業法務系法律事務所、ブティック型法律事務所など、いろいろ種類があるので、そこで得られる実務経験も異なってきます。
例えば、一般民事・刑事法律事務所は一般的なイメージに近い法律事務所であり、企業法務系法律事務所は企業法務を専門に取り扱っており、ブティック型法律事務所は企業法務のうち特定ジャンルの案件のみ担当しているなどの違いがあります。
2つ目のキャリアパターンは企業の企業内弁護士(インハウスローヤー)として働く方法です。
企業法務の重要性が高まる昨今、企業内弁護士(インハウスローヤー)には高いニーズが寄せられています。
最後に挙げられるキャリアパターンは独立開業です。
自身で法律事務所を開き、クライアントから依頼される案件を担当します。
弁護士の仕事内容
弁護士はクライアントの法律トラブルの解決に向けたサポートを行います。
具体的には、当事者の代理として法知識をもとにトラブルの相手方と交渉したり、裁判手続きを代行したり、といった業務を担います。
実際に法律上のトラブルが起こっていない場合でも、将来的にトラブルが起こらないよう予防的措置を行うのも仕事のひとつであり、企業法務の契約書のチェックや作成がこれに該当します。
いずれの仕事にも共通しているのが、法律の平等な運用ではなく、クライアントの利益を最優先した運用を図る点です。
このため、企業内弁護士の場合には、自社の利益の最大化を目的に業務に従事します。
弁護士の平均年収はどのくらい?
厚生労働省が実施した令和3年賃金構造基本統計調査によると、弁護士の平均年収は945万3,600円です。
男性弁護士の平均年収は970万0,800円、女性弁護士の平均年収は879万1,000円となっており、年収の男女差は大きくありません。
法律事務所に勤務している弁護士の平均年収は1000万円前後ですが、事務所の規模が大きくなるほど平均年収が高い傾向が見られます。
企業内弁護士(インハウスローヤー)も同様の傾向がありますが、ボリュームゾーンは年収750万円~1000万円未満となっています。
弁護士の働き方事情
法律事務所に勤務している場合、企業内弁護士(インハウスローヤー)として働く場合とで、働き方が異なってきます。
前者の場合、調べ物や各種書類作成、クライアントとの面談や裁判所への行き来などに追われるため、時間外出勤に追われる日々が続くことも珍しくありません。
一方、企業内弁護士(インハウスローヤー)は法務部で働くサラリーマンであることが多く、勤務時間も社内規定に沿うことになるため、比較的安定した働き方ができます。
弁護士に英語力は必要?
弁護士にとって英語力は必須のスキルではありません。
その理由は、裁判所法において「裁判では日本語を用いる」と定められているためです。
多くの場合、クライアントは日本人であるため、英語力が必要となる場面はそう多くないと考えられます。
しかし、クライアントが外国人となれば英語力が求められる場面も出てきます。
例えば、企業内弁護士(インハウスローヤー)として働く場合には大企業で働くことが多く、そういった企業では海外の企業とのやり取りが行われていることも少なくないので、交渉や契約書の作成などの業務においても英語力が必要となってきます。
弁護士が四大法律事務所で働くために必要なスキル
西村あさひ法律事務所、アンダーソン・毛利・友常法律事務所、長島・大野・常松法律事務所、森・濱田松本法律事務所の4つは500人近くの弁護士が働いており、四大法律事務所と呼ばれています。
四大法律事務所でのキャリアは規模の大きい案件を取り扱ったり、プロフェッショナル同士が切磋琢磨することで成長できたり、高年収を得られたり、といったメリットが期待できます。
四大法律事務所に転職するには、その事務所で取り扱う案件と親和性の高い実務経験があるかどうかが大きなポイントとなります。
専門性と多様性の両方を求めがちなので、企業法務の中でも特定案件のみ取り扱うブティック系法律事務所での実務経験が評価される傾向も見られます。
弁護士の就職・転職で採用担当が見ているポイント
弁護士の就職・転職で採用担当が見ているポイントをご紹介します。
就職の場合には、質問力をチェックされています。
弁護士という仕事の性質上、クライアントとのやり取りや裁判などで質問力が求められるからです。
面接時、“何か質問はありますか?”と問われた際、印象に残る質問をできるかどうかは採否を分けるポイントになり得ます。
転職時には、志望理由と事務所の方向性が一致しているかどうか、これまでの実務経験の内容が主なチェックポイントとなっています。
まとめ
法律のプロフェッショナルである弁護士は法律事務所に勤務するだけでなく、企業内弁護士(インハウスローヤー)として働く道もごく一般的なキャリアとなってきています。
いずれも高年収を期待できるため、担当する案件の性質やワークライフバランスなどをトータルで考えてキャリア選択を行うことになります。
今後のキャリアについて決めかねている、専門家に相談してみたいとお考えであれば、転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。
士業・管理部門に特化した転職エージェントであれば、弁護士の転職支援実績も豊富に持っており、キャリアアドバイザーによるアドバイスを完全無料で受けることができます。